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太田商工会議所専務理事  松田 賢治(桐生市新里町)



【略歴】旧笠懸村生まれ。桐生高、法政大卒。1967年に太田商工会議所に入所。事務局長、常務理事を経て2005年から現職。地域の中小企業支援に力を注ぐ。


商工会議所の支援策



◎経営指導員を被災地へ



 太田商工会議所では通常、6~9月にクールビズを実施していますが、今年は1カ月早く、5月から始めました(10月まで)。また、商工会議所会館内の蛍光灯も2本のところは1本にし、パソコン等の電源もこまめに切り、節電に努めています。

 東日本大震災により福島第1原発が停止し、今夏は大幅な電力不足が想定され、各企業はいろいろな方法で電力不足対策を推進しています。太田市の主力産業であります富士重工業は、7月から土日に出勤し木金を休暇にすると発表、そのため1次協力企業も同様の動きをするものと考えられます。また、自家発電装置の購入や節電方法等各企業ごとに計画しております。

 群馬県でも県有施設の使用電力を20%削減する方針を5月11日に発表。「少しでも多くの電力を家庭や企業に融通したい」との考えであり、産業界として非常にありがたい限りです。

 さて、商工会議所の被災地への対応ですが、皆さんがテレビや新聞、そして被災地へ行かれてその姿を見たとおもいますが、店舗・工場・魚市場等は壊滅的な状況であり、これからの営業をどうしたら良いか多くの経営者が悩み、商工会議所へ相談に訪れています。聞くところによると、その経営相談に対応する経営指導員が不足しているとのことです(会議所の建物も被災し別の建物を借用)。

 日本商工会議所では岡村会頭が直ちに被災地を訪問され、対策として「被災地の商工会議所を応援しよう」と、全国の商工会議所に呼びかけ、経営指導員の応募をしました。その結果、多くの商工会議所で岡村会頭の要請に応じ、被災地の商工会議所で会員の経営相談に現在対応されております。

 太田商工会議所でも経営指導員2人の派遣を決め、日本商工会議所からの派遣要請を待っている状況です。県内ではすでに桐生商工会議所の田部井経営指導員が福島県へ1週間行き経営支援をしてきたとのことです。このように、全国の商工会議所そして日本の経済界が一体となり「がんばろう日本」を目標にしていけば、被災地そして日本経済は必ず復活するでしょう。

 前回記述しました太田商工会議所が開催いたしました「呑龍市」ですが、おかげさまで県内そして両毛4市の皆さまにもご出店いただき、また、風評被害を受けている福島県・茨城県産の野菜や食品を福島県から太田市へ避難されている方々に販売していただきました。市内外から2万人を超える来場者があり、大盛況でありました。このような市を開催することにより、市街地の活性化と被災地の復興につながるものと確信します。今は「静」ではなく国民全体が目的を持って動く「動」の時代ではないでしょうか。






(上毛新聞 2011年5月27日掲載)