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みどり市観光ガイドの会会長  松島 茂(みどり市東町)



【略歴】旧勢多東村出身。城西大卒。両毛建材社長を経て2005―09年、わたらせ渓谷鉄道社長を務めた。昨年7月に発足したみどり市観光ガイドの会の初代会長。


観光ルートの開発



◎古民家を再生して活用




 みどり市観光ガイドの会も5月10日に23年度の総会を迎えることができた。7月から9月まで行われる群馬デスティネーションキャンペーンに照準をあわせ、昨年7月に発足したわけであるが、この1年足らずの間に会の組織は充実し、仲間の会員たちも大きく成長してくれたと感じている。毎月の定例会を実施する中で、話し合いを十分に行うよう心がけ、また数多くの研修を重ねてきた結果であると思う。ガイド実施回数33回、対応お客さま数428人、対応ガイド延べ181人と1年目としては、かなり満足のできる実績であったと自負している。

 23年度の事業計画としては、観光案内はもちろんのことだが、お客さまからのさまざまな要望に応えられるルートの開発を研究・調査していくこと、観光宣伝や観光客の積極的な誘致に取り組むこと、そして観光ガイドにこだわらず、みどり市の各種催しに協力参加し地域振興に寄与することも確認された。

 観光ルートの開発については、街中散歩コースの中にいくつかの古民家を見ていただくコースが現在もあるのだが、これからも数多くの古民家の再生を心がけ観光コースに組み入れていくことが課題と感じている。当然それはお客さまから大変好評を得ているからである。自分たちの遥かなる記憶の中に、古民家の感触が大なり小なり残っているからではないだろうか。「ああ、懐かしい」「そうそう、あった、あった」そんな言葉を何度となく聞くことができた。

 昔を懐かしむことが現在への安堵(ど)感、そして明日への力へと変わっていくようである。われわれの住む地域でも、ややもすれば古民家は処分されたり、廃屋になったりしがちである。これらを地域に住むわれわれが保存そして活用していくことが、一番の理想であると思うし、地域文化の継承になっていくのではないだろうか。

 順調に活動を続けてきた私たちだが、3月11日の大震災以降はキャンセルが相次いだ。当然のこととして受け止めもできたし、自分たちのスタンスも顧みることもできた。同じ大地のつながる先では、一瞬にして家族を、家を、仕事を失って苦しんでいる人たちがいる。そんな時に観光もないだろうと思えてきたり、他にすることがあるだろうと考えたり、多くの会員も悩んだろうと察している。

 この日を境に、多くの人たちが生きることの意義や日々の生活の大切さを実感したはずである。今時間を経て思えることは、平常で暮らせる人はありがたく平常に暮らそう、その中から自分のできることを探していこう―やっとそんな思いに到達したところである。どうか多くの方々に群馬県へ、みどり市へ足を運んでいただき楽しい思い出を残してもらいたいと思う。






(上毛新聞 2011年6月4日掲載)