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◎乳がん早期発見へ検診 「微笑がえし」など数々のヒット曲を飛ばした女性歌手グループ「キャンディーズ」の清潔で、はつらつとした姿は今も多くのファンの記憶に残っているかと思います。その中の一人、女優としても活躍されていた田中好子さん(スーちゃん)が乳がんで亡くなりました。「もっと女優を続けたかった」と言うご本人の声が流れているのを聞き、大勢の方が悲しい気持ちになったことと思います。 昨今、日本女性の乳がん罹患率が高くなり、私が働く薬局にも乳がんの患者さまがお見えになります。乳がんは早期に発見できれば生存率も高く、普通の生活ができますので定期的にマンモグラフィー検診を受けることが大事です。その呼びかけが「ピンクリボン運動」です。 この運動は1960年代に米国で始まり、日本でも10月を月間として活動が盛んになってきました。私がその運動を知ったのは2004年のことです。東京タワーがピンクに染まったニュースを見て、群馬でも運動を広げていきたいと思いました。その翌年、前回この欄で書いた黄色いピアノを使い、群馬県庁で1回目の「ピンクリボン運動」呼びかけのコンサートを開催しました。その後、乳がん患者さま何人かと群馬県にライトアップができないかとお願いに行きましたが、実現までの道程は困難のようでした。 07年、神戸での日本薬剤師会の学術集会に参加した時に、歌手であり教育者であるアグネス・チャンさんの講演が中止になったことを聞き、あとで乳がんだったことを知りました。 私はその後、東京のアグネス・チャンさんの事務所に講演をお願いし、すぐに快諾をいただきました。08年10月、アグネス・チャンさんは前橋市内での「ピンクリボン運動」啓発のための街頭キャンペーンにも参加してくださり、講演ではご自身の乳がん経験も語り早期発見の大事なことを示唆されました。最後に「対がん協会」の「ほほえみ大使」としてのテーマソング「この良き日に」を全員で歌いました。そして講演会前には、念願だった県庁昭和庁舎のピンクのライトアップが実現されました。 乳がんは遺伝的要素もあります。早く発見しさえすれば命を奪われることはないのですから、ぜひ多くの方に検診を受けてほしいと思います。今年は「新老人の会」群馬支部として10月1日にピンクリボン運動の講演会を開催したいと考え、各方面にご協力のお願いを始めています。 がんは痛みを伴うこともあります。がんだけでなく、全ての病に痛みや普段と違う症状が隠れていることもありますから、我慢をしないで相談することも必要です。体の痛みと心の痛みを早期に見つけ、治していくのが新しい医療であると思うこのごろなのです。 (上毛新聞 2011年6月17日掲載) |