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ザスパ草津広報担当  金子 真美(前橋市朝倉町)



【略歴】イベント企画・運営会社に勤務時、草津温泉フットボールクラブ(ザスパ草津)へ出向。主に試合運営に注力。2006年、同クラブに入社し広報を担当する。



「大切な味方」求めて



◎地域との連帯を強固に




 先日、ザスパ草津サポーター有志の協力のもと、ホームゲームの際にアンケート調査を実施しました。

 テーマは「なぜ試合入場者数が増えないのか?」

 ザスパ草津は毎年、平均観客数を伸ばしてはいますが、J1やJ1を経験したクラブに比べるとはるかに少ない数字であります。アンケートはターゲットユーザーを限定せず行い、率直なご意見を多数聞かせていただくことができました。また、サポーターの「熱さ」を感じ取れる意見も数多く寄せられました。

 クラブの収入は「試合入場料」「クラブ協賛(スポンサー)」「グッズ」が三本柱になっています。この三つの柱が有機的に機能して初めて、より魅力のあるクラブ・チーム運営や育成、また試合会場でのホスピタリティ向上へつなげていくことができます。この中でも、入場者(サポーター)は特に大きな要素。試合入場者のみなさんは、クラブ経営の支えになってくださる「大切な味方」なのです。

 Jリーグの活動方針は六つの項目があり、その中でキーワードとなる言葉の一つに「地域」があります。ザスパ草津にとっての「地域」は草津町、前橋市を中心とする群馬県全域です。生まれ育ったマザーズタウンの草津、Jリーグ参戦後、活動拠点としている前橋、そして多くの県民に支えられています。

 そのお礼の意味も込めて地域貢献活動を年間通じて行っています。自治体と一体となって、健康づくりや仲間づくりを推進する介護予防事業や選手が学校訪問をして夢を持つことの大切さを伝える「JFAこころのプロジェクト(ユメセン)」がそれに当たります。

 ザスパ草津の地域活動はトップチームが実施しているだけではありません。アカデミー(育成)コーチらは小学校の授業で、児童を対象にした訪問サッカースクールを年間通じて行っています。草津町に活動拠点を置くU―23所属選手は、町の観光PRや早朝の美化運動に参加。初の試みとしてU―12所属選手(小学校4年生~6年生のチーム)はスポンサーの協力をいただき、田植えを体験。秋の収穫も参加予定です。

 ザスパ草津の地域貢献は重要なことですが、さらに大切なことは地域のみなさんと向き合い、一緒に考え、ともに何かを創(つく)り上げ、そしてサッカー・スポーツの枠にとらわれず活動していくことこそが地域貢献となるのではないでしょうか。

 そこから生まれる新しい出会い、喜びや悲しみを共有することが地域とのつながりを強固なものとすると思います。こうした連帯が実現すれば、私たちが求めている「大切な味方」もたくさん増えていくと確信しています。






(上毛新聞 2011年6月18日掲載)