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大妻女子大教授  干川 剛史(神奈川県相模原市)



【略歴】前橋市生まれ。慶応大大学院修了。阪神・淡路大震災から情報ボランティアを実践する。徳島大助教授を経て、現在、大妻女子大教授、日本災害情報学会理事。


情報支援活動



◎ポータルサイト活用を




 東日本大震災における情報支援活動に参加している。震災発生からこの記事を執筆している今日で3カ月になろうとしている。発生から3週間近くがたった4月6日より5月中旬まで、被災地で「独立行政法人 防災科学技術研究所」(以下「防災科研」)の「災害情報ボランティア」として、宮城県内の市町の「社会福祉協議会」(以下「社協」)が設置・運営する「災害ボランティアセンター」(以下「VC」)の活動を情報通信技術の活用によって支援する「情報支援活動」に参加してきた。

 これまで、筆者は、宮城県自治会館2階に「宮城県社協」が開設・運営している「宮城県災害情報ボランティアセンター」を主な拠点として、宮城県内の山元町・亘理町・利府町・東松島市・石巻市・女川町・南三陸町・気仙沼市のVCを情報支援チームの運営スタッフや全国から参加している災害情報ボランティアと一緒に回り、各VCの事務局スタッフの話を聞いて状況を把握しながら、防災科研の情報支援チームとして支援可能なメニューを提示し、各VCの要望にしたがって、地図情報の提供や情報通信環境の整備、防災科研が研究開発・構築した「eコミプラットフォーム」及び「eコミマップ」の利用指導を中心とした支援活動に参加した。

 このような情報支援活動は、被災者の方たちから直接感謝の言葉をかけていただける活動でないため、初めて参加する者にとっては、やりがいの感じられない報われない活動だと思われがちである。

 しかしながら、読者のみなさんには、こうした地道な活動が今回の大震災だけでなく16年前の阪神・淡路大震災以来の大災害で展開されていることを知っていただき、必要に応じて支援・連携・参加してくだされば、また各種情報が集約された防災科研が構築・運営する「ALL311東日本大震災協働情報プラットフォーム」をはじめとする支援者のためのポータルサイトを活用していただければありがたいというのが、長年にわたって情報支援活動と研究開発を続けてきた災害情報ボランティアの一人としての願いである。

 目下、「特定非営利活動法人(NPO法人) 基盤地図情報活用研究会」の理事として、気仙沼市社会福祉協議会、宮城県社会福祉協議会、シャンティ国際ボランティア会などの団体の協力を得ながら、気仙沼市の本吉地区に建設・開設される応急仮設住宅の入居者を対象にした生活支援活動の準備に取り組んでいる。

 その一方で、4月から毎月末の週末に開催されている南三陸町の経済的復興を目的とした「福興(復興)市」に参加している。その様子は、「You Tube」に掲載されているのでご覧いただきたい。







(上毛新聞 2011年6月22日掲載)