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県防犯協会専務理事  岡 正雄(前橋市下石倉町)



【略歴】中央大法学部卒業後、1974年に拝命。伊勢崎署長、犯罪抑止対策実施本部長を経て退職。2008年4月から現職。県安全安心まちづくり推進協議会委員も務める。



防犯意識の普及啓発



◎広報はあらゆる方法で




 財団法人群馬県防犯協会(理事長四方浩)の事業の中で最も代表的なものは「防犯意識、防犯対策向上のための普及・啓発・広報事業」である。防犯に無関心だった人に、その意識を植え付けるのは容易ではない。実現させるにはあらゆる機会を捉え、種々の手段、方法を駆使して推進しなければならない。

 今回は、犯罪被害を受けやすい高齢者や女性、子供をはじめ、地域住民を対象とした広報啓発のための手段や方法を紹介する。

 まずは、キャラクターを活用した子供対象の啓発活動。当協会は「NPO法人グレート群馬ネットワーク」と広報活動の協力協定を結んでいる。そのNPOが運営する「超速戦士G-FIVE」。県の観光特使にも指定され、県内各地で繰り広げられる防犯ショーでは、防犯クイズや子供向け不審者対策の「いかのおすし」を素材とした啓発に熱が入る。幼稚園、保育園をはじめ、その他各種のイベントなどで大人気だ。これには、幼児たちと一緒に見てくれる親や祖父母を対象に振り込め詐欺、自転車盗や空き巣被害防止などのチラシや防犯グッズの頒布による啓発も加味される。

 次は、当協会と連携し、音楽を通じて啓発活動を推進している県警音楽隊のOBで組織している「ひまわり楽団」。2001年7月に結成され、既に10年になる。メンバーは70歳超を筆頭に、退職前の人も含め総勢12名で、トランペットやサックスのほか女性のボーカル担当もいる。

 これまでに高齢者や障害者施設、地域の敬老会、産業祭、納涼祭で「安全安心まちづくりふれあいコンサート」を54回開催した。最近は、地域安全大会だけでなく交通安全大会にも声が掛かる。『見上げてごらん夜の星を』『川の流れのように』『ふるさと』などの懐メロや童謡を中心に演奏や歌を披露する。演奏の合間に防犯のスポット講話として振り込め詐欺、少年非行防止などを多くの県民にアピールしている。

 そのほか、元警察官による落語やコント、少年補導員による寸劇、紙芝居でも「みんなでつくろう安心の街」を合言葉に多くの防犯ボランティアが活動している。当協会はこれらの啓発事例を一堂に会して、10月11日に太田市内の社会教育総合センター大ホールで「防犯ボランティア地域交流会」を開く。防犯ボランティアの研修の場としたい。

 研修会の最後には、啓発事例の利点や難しさをテーマに防犯団体の代表者らによるパネルディスカッションを行う予定だ。啓発事例をこれほど多く一挙に実施すのは、県下で初のことであり、参加する多くの防犯ボランティアには、自分たちが今後、できるものは何かを模索して活発な啓発活動を実施してほしい。






(上毛新聞 2011年7月9日掲載)