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ピアノプラザ群馬代表取締役  中森 隆利(高崎市問屋町西)



【略歴】静岡県磐田市出身。高崎経済大経営学科卒。家業の日本シュバイツァピアノで経営と技術を学び、1974年、ピアノプラザ群馬を創業。群馬交響楽団運営理事など。


群馬らしい文化



◎創造、発信が最も大切




 学生時代、勝ち負けやルールの確立された運動部に所属していた私は、文化に関わることが多くなった当初、文化の多様性と他を認めない主張の強さに翻弄(ほんろう)されましたが、それぞれのこだわりや思いなどに耳を傾けるに従い、地域を知る良い機会となりました。

 その中で、文化は守るだけで良いのかとずっと考えていました。文化の規定は難しく、とてもここでは書き切れません。伝統文化は誰もが大切と言う一方で「一部の人が好きなことをやっているだけ」「今の若者には理解されない」などの声も聞かれます。

 また、新しく創造する文化は外からは理解されやすい半面、近くにいる人ほど「歴史がない」「名前だけが先行している」などの批判が出がちです。

 このままでは文化による群馬県のブランド価値を上げることはできません。今は他県にない、群馬らしい文化を全国に知らせることが最も大切と思われます。

 皆さんが他県に出て群馬を語る場合、何を話すでしょうか? 私なら、東京から100キロ、風光明媚(めいび)な景観、古墳時代からの歴史と上三原田歌舞伎舞台に代表される農村歌舞伎などの伝統芸能や、萩原朔太郎、村上鬼城、土屋文明などの文人を輩出したこと、さらに中之条ビエンナーレ、高崎映画祭や群馬交響楽団などのことを話します。すると、後者の話題になるほど強い反応が返ってきます。

 私の出身地、静岡県磐田市で1997年、市制50周年記念の「地域文化を考えるシンポジウム」が開かれ、パネリストとして地方の音楽文化について話す機会がありました。その際、群馬交響楽団が戦後の困難な時期にでき、多くの市民、県民に支持されて存続している経緯、文化や教育に果たした役割と効果について話したところ、大きな反響がありました。

 さて、「音楽のある街 高崎」を広く県内外へ発信することをテーマとした「ミュージック高崎ジャパン」が来月の24日から28日まで開催されます。

 今年は東日本大震災復興へのメッセージ「いま音楽にできること」をテーマに、被災地から仙台フィルハーモニー、復興に協力している航空自衛隊航空中央音楽隊、東京消防庁音楽隊、高崎市等広域消防局音楽隊、埼玉県警察音楽隊、群馬県警察音楽隊など、そして、群馬交響楽団や高校、大学、吹奏楽団まで幅広く参加します。

 演奏だけでなく、無料の公開レッスンや楽器体験なども多数あり、今年は大型観光企画「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」のさなかの開催で、県内外から3万人が集まる県内最大級の音楽イベントを目指しています。全国に音楽文化を通じて群馬県、高崎市を知らせる絶好の機会になると思います。






(上毛新聞 2011年7月16日掲載)