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「食で高崎をGENKIにする会」事務局長  平児玉 博樹(高崎市中居町)



【略歴】明和県央高卒。英国生活を経て、飲食店や結婚式場を展開する「ティー プロダクト」の社長。任意団体「食で高崎をGENKIにする会」事務局長も務める。


食という文化



◎店を育て地域盛り上げ




 群馬県にも多くの飲食店があります。高崎市だけでも2000店以上。しかし、群馬県に来たからぜひこの店に案内をしたいと思う店は、いったい何軒あるのだろう。わたし自身も地元食材を使ったレストランを美食材ロハス、安心食材グラツィエと経営しているが、店の認知度はまだまだと感じさせられる場面は何度もあります。地域を代表するような店を経営することは、非常に難しいのかもしれません。

 しかし、経営的要素とは関係なく、店がこだわり、頑張り続けて伝えていくことは地域のためには大事なことなのではないでしょうか。地域から名産や名物が生まれてくるためには、飲食に携わる人達が努力しなければ机上の空論で終わってしまうでしょう。だから今、地域で同じ気持ちの仲間と連携して動かなければならないと思うのです。

 最近少し変化してきたのが、農家の方から野菜を他の飲食店と共同で仕入れたりすることです。単独であれば店の売りとしてアピールするのにとどまりますが、複数店舗でやることによって「群馬県の飲食店は野菜がおいしいよね」と、地域のアピールポイントがひとつでき、食材王国群馬の第一歩がスタートするのです。そしてこれが後々、大きく育つことにつながると思います。

 将来の地元を良くするために―と、多くのお店に理解・協力してもらい、肉や川魚、果物なども同じように供給することができれば食のレベル(考え方)も大きく変わるでしょう。同時に消費者のみなさんにもご理解してもらわなければならないでしょう。

 もちろんベストなのは安心安全で安くておいしいことです。これを目指していくことは必要ですが、個人レベルの飲食店では非常に難しいです。それでも地域を盛り上げるためには、飲食店が元気にならなければ発展はないのです。だから地元の頑張っているお店にもっともっと良くなってもらうために、みなさんの愛情で育ててもらわなければならないと思います。

 店に来てもらい感じてもらうこと、アドバイスをいただくことはとても大事なことですし、人が動くことの連鎖が経済を良くするのです。今だからこそ将来の日本のために、子や孫の世代のために、食という文化を全員で考えましょう。いつの日か真剣に考えている店と真剣に応援してくれているファンが語り合い、地域が活性化されることでしょう。それまで食で地元を元気にするために、自分自身の時間を精いっぱい使い、楽しく毎日をすごしたいです。








(上毛新聞 2011年7月20日掲載)