視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
.
群馬ダイヤモンドペガサスチーフマネジャー  谷口 弘典(高崎市貝沢町)



【略歴】北海道出身。札幌西高、高崎経済大を卒業後、米独立リーグで捕手としてプレー。NPB千葉ロッテマリーンズのチームスタッフを経て2008年から現職。


時間を有効に使おう



◎締め切りを設けて行動




 サッカー女子ワールドカップ・ドイツ大会決勝(17日=日本時間18日、フランクフルト)。日本代表「なでしこジャパン」(FIFAランク4位)は、米国(同1位)との戦いで、2―2でもつれ込んだPK戦を3―1で制し、初優勝した。一躍脚光を浴びた「なでしこジャパン」であるが、国内の「なでしこリーグ」では経営難のため苦労を強いられている。日本代表の中でもプロ契約はほんの一握りで、他の選手は昼間に就業やアルバイトで生活費を稼ぎ、夜に練習に打ち込んでいるようだ。

 今回は「時間」について考えてみる。1日24時間は全世界の人間にみな平等に与えられている。限られた時間の中で自分たちの夢に向かって頑張った彼女たちの姿勢を見習いたい。サッカーで世界一になるためにさまざまなことを犠牲にしてきたことだろう。成功者のほとんどが時間を有効に活用している。長い年月で時間の使い方により大きな格差が生まれていると言っても過言ではない。時間に対する考え方で人間の意識は大幅に変えられる。

 今回のサッカーで日本は挑戦者であった。国際試合で対米国の対戦成績は0勝3分21敗。総得点は日本が13点、米国が70点だ。負けてもともと、体格差もある。サッカーの場合は野球と違い、決められた時間の中で点数を取りあうゲームである。あのピッチの中で、それぞれの選手がどういう心理状態でいたのだろうか。「残り5分」―勝っているチームは長く、負けているチームは短く感じたであろう。「もう5分しかない」「まだ5分もある」。焦りか余裕か、プラス思考かマイナス思考か。同じ5分でも面白いものだ。こういった状況は誰でも経験があるものだ。学校のテストで解けない問題があり、「残り5分」の先生の声に焦った自分を思い出す。

 彼女たちの目標は世界一。人はそれぞれ目標を持ち、群馬ダイヤモンドペガサスの選手もそれぞれ目標がある。NPB入りを夢みて、年齢にもよるが、1~5年と決めて夢を追う。NPB入りした選手もそうであるが、何年か過ごし、戦力外通告になりそうな年に必死に練習をする。

 スポーツの場合、すぐに結果が出るわけではないが、気持ちだけは時間は有限であると認識し、時間に締め切りを設けて行動すべきである。「この日までにこの課題を克服しよう」と。夏休みの最終日、この日に宿題をやらなければいけないと思うと、できるのである。休養日以外は何事にもそのような気持ちで取り組む姿勢が必要である。かくいう小生、オピニオン原稿を締め切り日に慌てて書くこと、自分の考えをアウトプットすることが自分に対する最大の訓示である。






(上毛新聞 2011年7月30日掲載)