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NPOヘルスプロモーションセンター理事長、医師  佐藤 和子(高崎市片岡町)



【略歴】桐生市生まれ。桐生女高、福島県立医科大卒。麻酔学や医化学を研究し兵庫県立尼崎病院心臓センター、国立循環器病センター勤務。元大塚製薬健康推進本部長。


正しい食生活のために



◎知識広めて実践を支援




 去る6月30日に、私どものNPO法人ヘルスプロモーションセンターは認証されました。設立の目的は「人々が自らの自然治癒力をベースに、病気を予防し、病気になっても速やかに回復できるようにするため、人々の日常生活と食事のデータの分析(ミラー分析)で食生活を把握し、改善をアドバイスする方法によって、『正しい食生活』の知識を広め、実践を支援すること」においています。

 私の願いは、地球上のすべての人々が生まれる時も健康で、生涯を健康で幸せに過ごせることです。臨床医の20年余りの中で最も気の毒に思えたのは障害児の出生です。外科手術を必要とするさまざまな先天性疾患患者の出会いでは、家族の方々に妊娠中の食生活について詳しく聞かせてもらい、意見交換をする中で解かったことは、健康のためにいかに食べればよいかということについて、ほとんど知っていないということでした。

 20代の若い家族でモヤモヤ病の男児2人を育てねばならず、1歳の弟の手術での出会いがありました。将来に希望が持てないと一家心中をほのめかし、1人でも健康な子どもに恵まれるなら思いとどまるとも言われました。私は体の成分の入れ替わりの速さを伝えるとともに、いかに食べるかについて具体的に教えたところ、本気で食生活の改善に取り組み、4年後に健康な子を出産されました。同時に食生活がよくなったことで2人の病状も好転し、モヤモヤ病の患者会でそのことを皆の前で話され大変感謝されました。この事実は大きな希望につながりました。その後、食生活が悪いと障害児を生みかねないと警鐘を鳴らし続けています。

 某町では、婚姻届を出した時点で、朝食から栄養素を整えて食べることの指導を徹底したところ、8年間に1人の障害児も生まれていないとのうれしい報告をいただいています。町のリーダーは「正しい食生活」の学習を終えた管理栄養士の方で、ご自分と4人の家族全員の健康回復が得られたことで確信が持てたと語っておりました。

 食生活のありようが生命の誕生に大きな影響を与えると誰しも感じていますが、具体的にどのようにすればよいかについては言及されていません。私はここに風穴を開けたいと考えています。特にNPOを通じて健康の手入れの仕方を具体的に伝えていきたいと考えています。

 ところで群馬県内のNPO総数は5月末で695、活発に活動しているのは多くないと聞く。NPO設立の動機や目的には目を見張るものも多いので、ぜひこれを機会に「正しい食生活」を共有して心身ともに若返り、思いっきり活動を続けて、ご一緒に人々の幸せに貢献してゆきたいと強く願っています。






(上毛新聞 2011年8月3日掲載)