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整理収納アドバイザー  山口 智子(前橋市上小出町)



【略歴】福岡県出身。本県で初めてNPO法人ハウスキーピング協会認定整理収納アドバイザー1級を取得。「お片付けスクールのシークエンス」を起業し、講座を開催。


家庭の防犯



◎屋外の整理収納も有効




 群馬県警察本部が配信する「上州くん安全・安心メール」をご存じでしょうか。身近で発生した犯罪や不審者などの情報を、登録された携帯電話やパソコンのメールアドレスに送ってくれます。登録料・情報料は無料です。以前から利用している私が一番驚いたのは、メールの配信件数の多さです。身近で犯罪が多発していることを知ると、不安を覚えます。あえて情報を得ない方が治安が良いと思い込み、安心した生活が送れるような気もします。しかし、無防備になり過ぎた結果、犯罪に巻き込まれてしまっても遅いのです。自分の身は自分で守らなければなりません。

 2カ月前に近所で強盗事件が発生しました。私は、これを機にNPO法人ハウスキーピング協会・日本防犯協会共催のセイフティライフ(防犯)アドバイザー認定講座を受講しました。整理収納アドバイザーの視点を生かし、犯罪から身を守る暮らし方のアドバイス方法を習得しました。整理収納と防犯には深い関係があります。泥棒の侵入方法の5割が窓のガラス破り、3割が無施錠の窓からと言われています。犯罪が起きやすい環境を改善する方法として、窓に防犯フィルムを張ったりドアをWロックにするなど、建物の防犯性能を上げるのも有効です。しかし、費用を掛けずに誰にでもできることがあります。それは、屋外の整理収納であり地域全体の美化と防犯意識の向上です。

 近年、犯罪手口の傾向は技術志向から道具志向になっています。庭に無造作に置いてある物が、泥棒の侵入道具に容易に変身するのです。絶対入れないだろうと思うような小窓にも意外に入れます。泥棒は、お金がありそうかといった見た目よりも、入りやすさを見ています。屋外の整理収納、窓やドアの施錠、明かりの有効活用など、まずはできることから着手してほしいと思います。庭の花や緑の手入れが行き届いている家は、泥棒が入りにくいと聞いたことがあります。きっと家の中の貴重品管理がしっかりできていて、防犯意識も高いということでしょう。

 国民が一丸となって節電に力を入れている今、暑い日は窓を開けて就寝する方も多いと思います。1階が寝室の場合、風を通す室内取り付け型防犯格子シャッターというものがあります。2階が寝室の場合は、泥棒の視点になり屋外に目を向け、侵入経路となりそうな足場を撤去しましょう。

 社会情勢から考えても昔より治安は確実に悪化しています。今まで大丈夫だったから、今後も大丈夫ということは絶対にありません。毎月16日は、県民防犯の日。今後、群馬県警察本部が配信する「上州くん安全・安心メール」件数が減少傾向に向かうことを願っています。






(上毛新聞 2011年8月4日掲載)