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県防犯協会専務理事  岡 正雄(前橋市下石倉町)



【略歴】中央大法学部卒業後、1974年に拝命。伊勢崎署長、犯罪抑止対策実施本部長を経て退職。2008年4月から現職。県安全安心まちづくり推進協議会委員も務める。


公益法人化



◎安全安心な街の実現を



 2008年12月1日、公益の増進を目指した公益法人制度改革三法が施行された。これにより公益法人は、5年以内に新たな公益認定を受けるか、一般法人へ移行するか、解散するかの選択を迫られた。財団法人群馬県防犯協会(四方浩理事長)は、前身が各市町村防犯委員会の連合会として発足しており、1985年12月に「犯罪の発生を一件でも少なくして、安全安心な街の実現」を目指す財団法人として許可を受けている。したがって今回の制度改革でも当然のこととして「公益財団法人」の認定を受ける方針であった。

 今回の改革は、公益法人制度について抜本的かつ体系的な見直しを行ったもので、法人格の取得と公益性の判断を分離したものである。つまり、公益性の有無にかかわわらず、登記により設立できる一般法人制度を創設し、その上で法人の目的、事業等について公益性を判断して「公益認定」することとしている。

 それだけに新制度の認定や移行後の運営のハードルは高い。例えば、事業活動において公益事業支出が、全支出の50%以上であること(公益目的事業比率)や公益事業にかかわる収入がその実施に要する費用を償う額を超えないこと(収支相償)など十数項目ある。

 当協会の事業は、法定の23事業のうち「犯罪の防止又は治安維持を目的とする事業」及び「児童又は青少年の健全育成を目的とする事業」に該当しており不特定多数の利益の増進に寄与することを説明して公益性が認められた。しかもすべて公益目的事業とされたことにより公益目的事業比率(50%以上)確保に悩まされることはない。

 9月1日設立登記が完了し、名称が「公益財団法人群馬県防犯協会」となった。「特定公益増進法人」とされ、社会的な信頼度が高く評価されるなどのほか、ありがたいことに税制上の優遇措置が認められる。その一つは、公益法人自体の法人税は、収益事業課税であることから非課税。もう一つは、当協会の賛助会員となり会費の納入や寄付を行った場合、法人では一般寄付金の別枠で損金算入ができる。個人の場合は、所得税や住民税の寄付金控除が受けられる。

 先の東日本大震災では、多くの日本人が義援金等の寄付をしている。それでも競争社会とか個人主義の国といわれる米国と比べれば、個人の寄付が百分の一と聞く。不特定多数の利益の増進を図る当協会の活動の礎は活動資金である。

 そこで多くの県民が、当協会の賛助会員としての加入や寄附金の拠出により、「安全・安心の街」の実現に参画してほしい。その上で米国並みの寄付文化を確立し、世に存在する多彩な分野で「社会貢献の楽しさ、充実感」を味わってはいかがだろうか。








(上毛新聞 2011年9月4日掲載)