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ピアノプラザ群馬代表取締役  中森 隆利(高崎市問屋町西)



【略歴】静岡県磐田市出身。高崎経済大経営学科卒。家業の日本シュバイツァピアノで経営と技術を学び、1974年、ピアノプラザ群馬を創業。群馬交響楽団運営理事など。


音楽イベント



◎継続には連携が大事



 街づくりや地域の活性化はよそ者、若者、バカ者がする―とよくいわれます。

 この場合のバカ者は、熱心さのあまり常識に欠けるような行動をする人をさしますが、私は若くもなく、バカにもなりきれません。40年以上群馬に暮らしているとはいえ、静岡県の出身なのでよそ者かもしれません。この意味で私を温かく迎えてくれ、育ててくれた群馬に恩返しをしたいと思い、日ごろから文化を通じたことであれば何でも取り組んできました。

 今回は前回のこの欄(7月16日付)でお知らせした「ミュージック高崎ジャパン」について書いてみます。

 このイベントは東日本大震災からの復興を願い、先月24日から28日まで5日間にわたって、「いま音楽にできること」をテーマに開催されました。 期間中は実行・運営委員や当日のスタッフの民間ボランティア、高崎市やホールなどを管理する高崎市文化スポーツ振興財団が一体となって取り組みました。出演した演奏団体や入場者がこのイベントや今回のテーマをよく理解して参加してくれたため、コンサートはもちろん、セミナーや楽器体験などの参加型の育成プログラムも軌道に乗ったことが最大の成果といえます。

 当日のボランティアは当初ガールスカウトや少数の学生と社会人だけでしたが、今回は市内の上武大や高崎商科大附属高校に加えて、高崎経済大の吹奏楽部の皆さんの参加もあり、5日間を通して暑い中、駐車場係から場内整理、そして、義援金の声かけまで大活躍していただき、実行・運営委員の方も当日の役割を積極的にこなし、お客さまを気持ちよく迎えることができました。

 また、出演団体が今回のテーマに合わせた演奏をしてくれ、アンコールには「故郷」が会場全体に器楽と合唱で流れ、多くの方が涙を流す姿が印象的でした。

 私見ながら、テーマの「いま音楽にできること」は感動や元気を与え、友情や絆を強くすることです。全員が音楽の力を感じ、共感できたと思います。

 幸い天候にも恵まれ、約2万2千人の集客があり、屋外でのストリートライブや飲食のコーナーもにぎわいましたが、街中の商店との連携はいまひとつで、県外からのお客さまを飲食、買い物、宿泊などに十分つなげられず、残念でした。

 日本中に多くの音楽イベントがありますが、本当に支持されて長く継続しているものは意外に少ないのが現状です。継続させるには、イベントの趣旨の明確さや民間ボランティア、商店や市民の協力、子供や学生など若い人たちの参加、その上に企業や公の支援が欠かせません。

 その意味でこのイベントの継続と発展は「音楽のまち」として大きな意味を持ち、大切なことと思います。






(上毛新聞 2011年9月10日掲載)