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ステージサービス群馬社長  添川 秀樹(前橋市富士見町石井)



【略歴】早稲田大社会科学部卒。日本ホールサービス取締役群馬支社長を経て現職。現在、社団法人企業メセナ群馬理事。群馬楽友協会理事(事務局長)。



劇場法と文化振興条例



◎意見反映して実効性を



 私たちが日ごろ利用する文化会館や文化センターには基盤となる法律がいまだになく、いわゆる劇場法(仮称)の制定が現在俎上(そじょう)にあることを第1稿に書きました。

 今回の稿では、法制定の進捗(しんちょく)状況と情報の取得方法などを記して議論の活発化に資したいと思います。

 政府は、今年2月8日に文化芸術の振興に関する第3次基本方針を閣議決定しました。その中で「9、芸術拠点の充実等(1)劇場、音楽堂等の充実『現在、法的基盤のない劇場、音楽堂等が優れた文化芸術の創造、発信等に係る機能を十分に発揮できるようにするため、劇場、音楽堂等の法的基盤の整備について、早急に具体的な検討を進める』(文化庁ホームページ)つまり、法案は固まってはおらず、議論の余地があるようです。

 劇場法の基礎をなす「文化芸術振興基本法」が制定されてから10年たちました。法治国家であり文化国家を標榜(ひょうぼう)した我わが国です。ようやく最近になって一般の人からも法制定に関する意見が散見されるようになってきました。

 これまでは法律がないため、施設の管理・運営は教育委員会や関係機関、現場の工夫によってきました。法が、どの様な内容になるかは身近な施設に関するものであるだけに無関心ではいられないと思います。

 私は、この法律の制定に賛成ですが、芸術や文化をどの様に考え、それらと私たちとの距離など考えるべき問題を内包します。せっかく制定されるなら実効性のある法律になってほしい。広く一般の方々の意見が反映されたものであるべきと考えます。より広い情報の公開と一般の方々の意見表明を提言します。

 インターネットをご利用される方でしたら、一度「劇場法」で検索してみて下さい。審議経過、賛成反対意見とその理由などが掲載されています。 私は、この法律が規制法でないこと、中央・地方の格差を助長しないこと、住民にとってこれまで以上に使い勝手の良い施設になることを要望します。

 続いて、群馬県の文化振興条例についてです。本県は全国初の音楽モデル県です。県議会で「文化県群馬」宣言の決議から約30年たちましたが、いまだ制定されていません。全国では既に24都道府県で「文化振興条例」が制定されています。幸い、この条例は現在審議が進んでおり、私たちの意見も募集されています。インターネットで「群馬県文化振興条例」を検索してみて下さい。そして、ご意見をお寄せ下さい。

 先進的な条例には、文化芸術に当局は直接的な干渉を避ける項目があります。我が県の条例にもこの精神が抜け落ちることのないよう希望します。









(上毛新聞 2011年9月14日掲載)