視点 オピニオン21
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玉村町・和い輪いネットワーク代表  高橋 さゆり(玉村町斉田)



【略歴】岐阜県山県市出身。県の講座で子育てや家庭教育について学んだ後、1999年に「和い輪いネットワーク」を結成。事務局長を経て2007年から現職。



子どもたちの未来へ(3)



◎幅広い視点で危機管理



 セミの鳴き声から虫の音へ、季節は着実に時を進めています。3・11東日本大震災から6カ月が過ぎました。被災された方々の中には、あの日から時が止まったままという方も多くおられるのではないでしょうか。

 テレビに映し出された津波の映像にもショックを受けましたが、福島第1原子力発電所の建屋が爆発し破壊された模様はチェルノブイリをほうふつとさせました。政府の原子力事故関係情報が小出しに開示されることにより、小さなお子さんのおられるご家庭では一層当惑し不安を感じられたようです。

 これから私たちの健康や食の安全はどうなるのかと不安を感じましたが、やはり群馬県でも茶葉や赤城大沼のワカサギなどからも基準値を超すセシウムが検出されました。味覚の秋となり群馬県でもさまざまな農産物の収穫期となります。今後の食の安全対策をしっかりとしていただくことを願います。

 8月27日、「福島復興再生協議会」で、原発事故による放射性物質汚染地域では帰宅までに20年以上かかるという可能性の試算を公表しました。大熊町での1545万ベクレルという数値をどのように理解すればよいのでしょうか? 当グループが乳幼児向け支援物資をお届けした際、お話をうかがうことのできた大熊町の原発から3キロ圏内にお住まいのご夫婦が気にかけていた「帰宅できないのではないか」との心配が現実のものとなってしまいました。

 8月17日には原発事故により、福島から転校せざるをえなくなったりした子どもたちが、国の担当者に直接思いをぶつけた様子がテレビニュースで放映されていました。真剣に思いを訴え、伝えようとしている子どもたちに、回答を押し付けあう担当者の姿や、最後には「最大限取り組んできました」との答えは、どのような思いをさせたのでしょうか? 最後に流された子どもさんの言葉「子どもの言っている言葉を理解できない人は、子どものころどんな勉強をしていたのですか?」。これが全てを物語っているのではないでしょうか。

 9月1日の防災の日に、県内の男女共同参画推進にも取り組んでいる群馬県女性団体連絡協議会が大沢知事あてに、東日本大震災を踏まえ災害対策や被災者の生活支援対策などに女性の視点を反映してほしいとの要望書を提出されました。

 『視点』は今回が最後の担当回となりました。あらためて、危機管理対応には子どもや女性、お年寄りや障害をお持ちの方たちなど、災害弱者と言われる人々の声も真摯(しんし)に受け止め、幅広い視点からの対策をお願いしたいと思います。







(上毛新聞 2011年9月18日掲載)