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整理収納アドバイザー  山口 智子(前橋市上小出町)



【略歴】福岡県出身。本県で初めてNPO法人ハウスキーピング協会認定整理収納アドバイザー1級を取得。「お片付けスクールのシークエンス」を起業し、講座を開催。


整理とは



◎人生を効率化する手段



 整理というと、形のある物に対して行われることと思われがちですが、物だけに限られてはいません。時間や心、パソコンの中のファイル、ましてや人間関係など目に見えないものまで整理をすることでさまざまな効果が得られるのです。 整理に共通して言えることは、区別する技術を習得することです。

 時間に流されるのではなく、今しなければいけないこと、後でもいいことを区別し優先順位を付けてから行動する。意識すると、自分が今本当にすべきことの見極めが早くなり、容易に優先順位も付けることができるようになります。それによって余裕が生まれ新たな趣味を見つけることができるかもしれません。

 心は、今楽しいことは何か、それは今悩むべきことなのかなどを区別します。今本当に考えるべきことだけで心の中を占め、その他のことはいったん排除してしまうと楽になります。考えるべき時が来た時にそれに集中して最善の答えを出せば良いわけです。今を大切にすることで、人生プラスに動き出すことと思います。

 パソコンのデスクトップ画面がショートカットだらけになっていませんか? オフィスのデスク周りが整理されている人のパソコンは、きっとデスクトップ画面もスッキリとしていることでしょう。ファイルも物と同じように、たくさんあっても仕事の効率が落ちるだけです。一度、全てバックアップを取りリセット。その都度、使ったファイルだけを整理しながら保存してみてはいかがでしょう。

 次に、名刺や携帯電話のアドレス帳はどうでしょう? もう退職された取引先の方や、何年も音信不通の方の連絡先が登録されていませんか? 定期的に整理して破棄することも必要です。増えるだけでは管理がしづらくなります。

 年賀状も同じです。毎年惰性でやり取りを続けている相手。自分から決心して送らないでみる。意外に、相手もホッとするかもしれません。そして、新しく出会った人に出してみる。人間関係も循環させてみるのもひとつの案です。日本人の苦手とするところでもあり、それが良いところでもあるかもしれませんが。

 さて、実は多くの効果が隠されている肝心な物に対しての整理ですが、どうしても優先順位が低くなりがちです。それは、たとえ部屋が散らかっていても直接人に迷惑を掛けることがないから。だからこそ物の整理が重要なのです。必要・不要な物を区別する習慣。これができるようになると好循環を生みだします。

 時間は今しなければならないことかを、心は今考えるべきことかを、物は今本当に必要かどうかを見極め区別する。整理とは、人生の効率化の手段でもあると思うのです。






(上毛新聞 2011年9月26日掲載)