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群馬ダイヤモンドペガサスチーフマネジャー  谷口 弘典(高崎市貝沢町)



【略歴】北海道出身。札幌西高、高崎経済大を卒業後、米独立リーグで捕手としてプレー。NPB千葉ロッテマリーンズのチームスタッフを経て2008年から現職。


自分の役割



◎得意分野で能力発揮を



 自分の役割というものを知っていますか?

 スポーツを通じて、野球を通じてさまざまなことを学んでいます。野球の基本であるキャッチボール。相手の胸に投げることが基本とされています。なぜですか。相手が取りやすく、次に投げるという行動が取りやすいからです。それが思いやりというものです。相手のことを考えた言動が人間社会を生きる上で必須です。野球の打順は9番まであります。それぞれ役割が違い、次につなぐ気持ちがつながった時に打線として機能します。ポジションもいろいろな役割があり、それぞれタイプも違います。なりたい人・選手は自分と同じタイプですか。短距離打者が松井秀喜を目指していませんか。

 プロ野球の一軍で活躍している選手は松坂やイチロー、松井だけではありません。足の速い選手は足のスペシャリストとして代走要員で十分に活躍できるのです。ビジネス社会でも同様でしょう。いろいろな会社がありますが、その組織の中で自分の役割やタイプを見据え、得意分野を伸ばしていく。それにより自分のためになり、会社のために貢献できるようになる。それにスポーツを通じて気付かされます。

 野球が好き。野球の何が好きなのですか。見るのが好き。やるのが好き。その中でも投げるのが好き。打つのが好き。走るのが好き。守るのが好き。人間社会で無理な役割をしていると本当にうまくいかないし、機能しないと感じます。起業家、経営者、開発者、交渉人、運営、企画、営業など、役割を見据えそれを責任持ってこなしていくべきです。何かに特化した才能を発揮した方がプロの世界では活躍できるのです。スポーツで成功するための要素とビジネスで成功するための要素は重なります。

 一つ目に計画性です。時間の有効活用と共に無理のない計画を立てることです。誰もができることを人より早く、多くやればいいのです。過度な円高、産業の空洞化、人口減少、雇用状況の悪化…どんどん格差社会が広がっていきます。自分に特化した能力を見いださなければ、これから厳しい将来になると思います。逆に言えば誰よりも営業ができる人、斬新なアイデアを出せる人はこれから先も保証されていきます。

 二つ目にライバルが必ずいるということです。誰でも負けたくない気持ちはあります。相手のチームに負けたくないことはもちろん、チーム内にもそういった存在を作ることです。

 最後にリベンジです。落ち込みから早く立ち直れる術を持っているということです。失敗しない人はこの世に存在しません。大事なのは失敗から早く立ち直る気持ちを持つことです。なせば成ります。成功者は人より失敗の数が多く、気付きが多いだけなのです。






(上毛新聞 2011年9月27日掲載)