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ザスパ草津広報担当  金子 真美(前橋市朝倉町)



【略歴】イベント企画・運営会社に勤務時、草津温泉フットボールクラブ(ザスパ草津)へ出向。主に試合運営に注力。2006年、同クラブに入社し広報を担当する。


多様化する情報発信



◎一人一人へ熱い思いを



 年に一度、Jリーグに加盟する全クラブの広報担当者の研修会があります。今年も9月上旬に実施され、Jリーグ事務局があるJFAハウスの大会議室に集まり、一日半ほぼ缶詰め状態で講義を受けました。

 担当者の顔ぶれも、部署異動などで初めて広報の仕事に携わる方もいれば、マスメディアから転職された方、所属クラブの元選手などさまざま。そんな広報担当者同士が顔を合わせる機会は少なく、貴重な情報交換・共有の場にもなります。

 今回の研修会でたくさんの方々のお話を聞きましたが「ソーシャルメディアの戦略的活用とその注意点」(今後のクラブ公式サイトのあり方を考える)の講義に興味をひかれました。

 Jリーグ開幕の1993年当時、携帯電話所持率はわずか1・4%、パソコン所持率は11・9%。Webを使った戦略などない時代からおよそ20年の時を経た今、携帯電話所持率は多機能携帯電話も含め90%以上であり、かつコミュニケーションツールが多様化している時代に変わりました。広報の大事な仕事の一つ、情報発信が「広報」から「個報」になったとも言えます。

 現在、ザスパ草津の情報発信は不特定多数を対象としたマスメディアを中心としており、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等各媒体に大変お世話になり、頼りにもしております。しかし、口コミなどでサポーター層を形成するFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)等アーンドメディアなどの影響力を持ち始めていることも事実です。

 J1・J2カテゴリーの違いはあるものの、皆同じ悩みを抱いているのも事実で、「サポーター拡大」がそれです。ザスパ草津も同様であります。たくさんの方にザスパ草津を知っていただくために情報発信は不可欠なのです。「ブームに目を奪われていると本質を見失うことになってしまいがち。個と個、双方の楽しさや地理的制約を受けないソーシャルメディア戦略は大きいけれど、ソーシャルメディアを使って何をするのか、その先にあるものは何なのか」。課題はターゲットにあった戦力とビジネスモデルの見直し・再構築。

 しかしながら、アナログ発想(事象にあるものを理解した上で考える)も重要で、大事なことはさらなる発展、成長のためにお金をかけて情報発信することでなく、ザスパ草津を応援していただく一人一人に熱い思いを伝える―そこがすべての始まりだと考えています。広報の仕事に携わって6年。この仕事は一生涯勉強です。






(上毛新聞 2011年10月15日掲載)