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アウトドア・ツアー会社「カッパCLUB」社長  小橋 研二(みなかみ町小仁田)



【略歴】岡山県生まれ。1996年、アウトドア・ツアー会社「カッパCLUB」設立。ラフティング・ツアーをはじめ、スポーツイベントの企画運営、開催を手掛ける。


スポーツタウン



◎町歩き専用のマップを



 先日、コスタリカで行われたラフティング世界大会で日本男子チームが優勝を飾り、2連覇を遂げたといううれしいニュースが届きました。仲間の偉業に感動を覚えると同時に、アウトドアスポーツの無限の可能性を感じさせられました。

 アウトドアスポーツは、初心者も体験できる遊びのレベルから世界を目指す競技者レベルまで、他のスポーツ同様に多様な楽しみ方ができます。自然と親しみ自然と共存する喜びを感じられることが最大の魅力です。しかし、必要な道具の多さや安全性などから、まだ敷居が高いと思われることも多いように思います。

 そこで、もっと誰でも簡単に自然を感じられるアウトドアスポーツがみなかみ町で体験できれば、地域活性化の一端を担えるのではないかと考えられます。

 私は山間や海辺など、なるべく自然の多い場所へ家族旅行をしますが、旅先では早朝に宿の周辺を散歩やジョギングするのが習慣です。その道中で景色を眺めるのはもちろん、落ち葉を踏みしめ、虫の音や水の流れに耳を傾け、野生の木の実を食し、潮の香りを嗅ぎ、五感をフル活用して自然を楽しみます。旅先で私のような楽しみ方をされている人は多く、すれ違う方々も、それぞれに自然を感じている姿をよく見かけます。

 歩くこと、走ることはスポーツの基本です。来町した人々が外に出て散歩してみたくなる町づくり、走りたくなる町づくりが、私が提唱したい「スポーツタウンみなかみ町」です。

 そこで、「こんな物があったらいいな」というのが町歩き専用のマップです。車用の道路地図や登山者用の山地図はどの観光地でも容易に手に入ります。しかし、観光地をウオーキングしたりランニングする人のために作成された地図はめったに見かけません。歩行走者目線で考えれば、移動距離の情報は必須です。イラストマップの類はイメージはつかみやすくても実際とかけ離れた距離感のものが多く、私も旅先で距離の目測を誤り朝食の時間に遅れた経験があります。

 みなかみ町には、温泉街のそばを流れる利根川、そびえる谷川岳、木々の新緑、紅葉、雪景色と、観光客が楽しめる自然が豊富にあります。地図の中にお勧めのコースを設定しつつも、歩行者が距離の情報をもとに自分でルートを決めて歩き、走り、その道中で自然を満喫できる町というのは、新しいスポーツタウンの形になり得るのではないでしょうか。そして定期的にウオークラリーやマラソン大会を開催すれば、自分の力を試す生涯スポーツの場を提供することとなり、恵まれた観光資源を活用して町に多くの参加者を呼び込むことができるはずです。私も楽しみながら、生涯みなかみ町で体を動かし続けられたら幸いです。






(上毛新聞 2011年10月24日掲載)