視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
.
NPOヘルスプロモーションセンター理事長、医師  佐藤 和子(高崎市片岡町)



【略歴】桐生市生まれ。桐生女高、福島県立医科大卒。麻酔学や医化学を研究し兵庫県立尼崎病院心臓センター、国立循環器病センター勤務。元大塚製薬健康推進本部長。

美しく生きるために



◎食生活の見直しが急務



 「予防に勝るものなし」「今日の一針、明日の十針」「転ばぬ先のつえ」「健全な精神は健康な体に宿る」等々、先人のことわざに支えられて予防医学の道を拓ひらいています。

 国保中央会の報告によると、請求点数40万点以上(1カ月4百万円以上)の高額レセプトは2007年度では1万3909件、疾患別にみると、「主疾患」は心臓3680件と全体の26・5%を占めて最も多く、次いで血液2290件、消化器2150件、脳1967件などの順。そのうち1カ月1千万円以上の超高額レセプトは、675件と過去最高に達し、心臓が487件と7割強に及ぶが、消化器は63件、血液が59件、脳24件など。最高は血友病患者で1カ月4186万円。上位10位は3位(大動脈弁閉鎖不全症)と8位(解離性大動脈瘤りゅう)以外はすべて血友病が占め、第2位と9位が同一人物で計6135万円。09年度はさらに上昇し、超高額レセプトは過去最高の850件で前年度に続き上位10位まで全てが血友病。1位6416万円と2位は同一人物で計1億2千万円を超え、3位4699万円…10位でも3331万円でした。

 また、02~05年度健保連の発表(高額レセプト上位の概要)によると、ある血友病A患者さんでは、02年度に1億4千7百万円(すでに総額は4億2千万円)を使用、05年6月には総医療費は6億2千6百万円に達して他界されました。

 血友病は、血液を固める因子(血液凝固にかかわる13種類の凝固因子のうち、第VIII因子=血友病A、第IX因子=血友病B)の働きが不十分なため、血液が固まるのに時間のかかる病気です。学生時代には父親の遺伝子の欠損による伴性遺伝で、男性のみにみられるが極めてまれに女性に、と習いました。

 実態調査を見ると、1961年当時の患者数は血友病A204名、血友病B53名で、いずれも男性のみ。76年より女性(A6名、B3名)も発症。2004年の患者数は4810名(A3938名、B872名)とさらに急増。しかも驚いたことに、家系がなく、突然変異と考えられる場合が半数以上(57%)に達していたのです。結婚前に「正しい食生活」を学習して実践すれば、遺伝子の損傷も避けられますので、突然変異による血友病者は皆無となりましょう。他の疾患も同様です。

 高額・超高額レセプトの急増は私たちに何を伝えようとしているのでしょうか。

 私は、誰でも美しく生ききるために「正しい食生活」を実践する能力を育てることが急務である、と諭しているように受け止めていますが、皆さまはいかがお思いでしょうか。





(上毛新聞 2011年11月7日掲載)