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NPO法人みんなの未来研究所代表  須永 徹(太田市由良町)



【略歴】元ジャパンビバレッジ環境部長。定年退職後、2009年9月にNPO法人みんなの未来研究所設立。県環境アドバイザー、県地域づくり協議会委員。


地球環境映像祭



◎子どもたちに気づきを



 世界中から公募した環境に関わるドキュメンタリーやアニメなどの作品を、東京で20年間上映しているアース・ビジョン地球環境映像祭を昨年から太田でも開催しています。

 特に子どもたちに最新の環境や世界の子どもたちの生活に関するものを見てもらい、世界で起きているさまざまなことへの関心を深めてもらいたいので、低学年の子どもたちにも分かりやすいアニメを多く上映しているのが太田開催の特徴です。

 もちろん、大人が見ても十分に楽しめる質の高い作品ばかりなので、家族で見て環境や世界の現状に関することを話し合ってもらえたら、主催者としてこんなうれしいことはありません。

 実は、今年は3月12日に第2回を開催したのですが、前日発生した東日本大震災の影響で、来場者がほとんどありませんでした。一応上映はしましたが、前売り分のチケット代を合わせて全額を震災の義援金としました。

 今回、11月19日午後1時からあらためて太田学習文化センターで開催しますが、少しプログラムの入れ替えを行いました。

 一つは牡蠣(かき)の養殖を行っている方が、海を守るためには森がしっかりしていなければだめだ、ということから植林活動を続けていた記録映像です。その方はその後、震災で壊滅状態になった海を再生するために、やはり植林活動からスタートさせています。

 また、今回の映像祭は特に震災を意識したプログラムではありませんが、子どもたちが祭りを復興しようと、震災前に撮られたビデオを参考に、その祭りを再現した様子をとらえた写真を見ていただきます。

 その他、イランやベルギーのアニメ(日本語吹き替え)などでプログラムを編成しました。

 子どもたちに対する環境教育の重要性は今さら言うまでもありません。来年10月からは「環境教育等促進法」も改正施行され、体験学習に重点を置いた取り組みから、幅広い実践的人材づくりへと発展させることになりました。そして、これを推進していくために国や地方公共団体、民間には、それぞれの責務が規定され、協働し協力することも求められています。

 映像を通して環境問題や世界の子どもたちの現状に触れてもらうことで、豊かな感性を持ち次世代を担っていく子どもたちに、早く気づいてもらうためのささやかなきっかけをプレゼントするつもりです。

 もしかすると、われわれの世代では考えもつかないことを子どもたちの世代が行ってくれる可能性は大いにあります。この機会にぜひ、ご家族でお出かけください。







(上毛新聞 2011年11月16日掲載)