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高崎中部名店街理事長  友光 勇一(高崎市島野町)



【略歴】日本大商学部経営学科、インテリアスクール卒業。現在インテリアショップ経営。高崎中部名店街理事長、神輿高崎右京會会長を務め、街の活性化に取り組む。


街とイベント



◎人のつながりを大切に



 商都高崎といわれて久しいですが、残念ながら街のにぎわいが徐々に寂しく感じられるようになってきました。

 今から三十有余年前、私は東京で学生生活を謳歌(おうか)していました。高崎に戻ると、高崎の夜は非常に活気がなく、寂しく感じられたものでした。都会と比較して人口が少ないためか、あるいは真面目な上州人の性格で、学校や仕事が終わっても繁華街では遊ばず、素直に自宅へと急ぐのか。それゆえ、高崎の繁華街に活気がないと思い込み、街を元気にするために微力ながら一生懸命遊んだものでした。

 私や仲間たちで一心不乱に遊んだところで、たかがしれたものでした。しかしながら、まだそのころの街中は今と比べ活気にあふれていました。商店の専門店志向、あたかも百貨店のテナントショップのように装うことが格好良く、機能的な店づくりをすることがお客さまにとっても良いことと信じて店づくりをしてきました。

 その結果、個人商店や商店街の持っている社会的機能、人と人との温かみのあるつながりの大切さをどこかに置いてきてしまったような気がします。街の良さとは、個店の人たちとお客さまとの心のつながり。お客さまと共に店舗や商店街が成長していくことに気がついてきました。

 郊外に多くの店舗の出店が始まったころ、商店街では来客数の減少が始まりました。そのころから商店街ではイベントへの取り組みを真剣に考えるようになりました。何とか街に関心を持ってほしい、街を忘れないでいてほしい―その気持ちからです。

 高崎の晩秋の風物詩「高崎えびす講市」は今年で第83回を迎え、「高崎まつり」に次ぐ大きなイベントとなっています。高崎商人の心意気です。報恩感謝の気持ちで1年を締めくくる商いの感謝祭です。今年は18、19、20日の3日間行われます。

 われわれの高崎中部名店街では、恒例のロールケーキづくりをします。今年は高崎市制111年ということで、ギネスブック公式認定委員を招いて、長さ111メートルの世界記録に挑戦します。市内のパティシエ10人の指導の下、市民ら300人で作り上げ、3千人に振る舞うイベントです。 同時に、友好都市・金沢市商店街連盟青年部が物産紹介のブースを設け、キャンペーンを行います。そしてロールケーキにトッピングするために開発した金箔(約15万円相当)を持参し参加する素敵なイベントになっています。それもお客さまとの共通の達成感、つながりを大切にしたい気持ちの表れです。







(上毛新聞 2011年11月18日掲載)