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大間々町商工会青年部長  吉沢 正樹(みどり市大間々町)



【略歴】桐生工業高、日本大生産工学部卒。大手建設会社を経て、父親が経営する測量器メンテナンス会社に入社、現社長。2011年4月から大間々町商工会青年部長。


青森県大間町と交流



◎きっかけはマグロ祭り



 昨年10月23日の東北地方は穏やかな秋晴れだった。われわれ大間々町商工会青年部のマグロが好きな3人組は、本州最北端の青森県は下北郡大間町を目指した。そこで開催されている「大間のマグロ祭り」へ行き、日本一うまいと言われる本物のマグロを自分の目で確かめ、舌で味わって実感することが目的だった。また、以前から「町名がそっくり」なところに非常に興味を持っていた。

 最近、テレビや新聞ではB級グルメをよく紹介している。しかし、大間のマグロはB級グルメには登場しない。なぜならば、言うまでもなく「A級グルメ」だからだ。そして、大間へ行く目的はもう一つあった。現地で大間町商工会青年部の部長を務めている館脇淳氏にお会いすることだった。 その前に商工会の組織を簡単にご案内しておこう。全国の中小零細企業89万1679社が加入している国内最大級の組織。北は北海道から南は沖縄まで1747の商工会が存在する。主な目的は会員の経営改善や地域経済の振興である。特典として、入会したその日から全国に89万1679社の仲間ができる。

 お恥ずかしい話だが、その会員数を知ったのは今年の5月に青年部部長に就任してからだ。それまでは自分が所属する商工会の会員数さえも知らなかった。今思えば、もっと早く商工会のことをまじめに勉強しておけば良かったと後悔している。

 ところでどうして大間の館脇部長と知り合いになったかと言うと、1本の電話が始まりだった。

 昨年は全国の高速道において、ETCを利用すると休日1000円で乗り放題という制度があった。長距離を旅するにはうってつけだった。そこでひらめいた。せっかく高速道を1000円でどこでも行けるのだから最大限に有効利用しない手はない。早速インターネットで検索してみると「大間のマグロ祭り」がヒットした。何ともうまそうなマグロの切り身の写真が食欲をかき立てた。もうここしかないと思った。

 昔から善は急げと言うので、すぐに大間の商工会へ連絡をした。「こちら大間々の商工会青年部と申します。マグロ祭りへ行きたいのですが、パンフレットをいただけますか」と聞くと、「すぐに資料をお送りします」と優しく丁寧に応対してくれた。さらに大間のおもてなしはそれだけではなかった。「こちらの青年部長に連絡をつけますよ。せっかく来るならば、青年部同士で一杯やったらどうですか」と、初めてなのにここまでしてくれる対応にはビックリした。やはり大間をはじめ、東北地方の人たちは心が温かいなあとあらためて思った。それがきっかけとなって片道約10時間に及ぶ780キロの長旅が始まった。






(上毛新聞 2011年11月23日掲載)