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日本花の会 評議委員・花のまちづくりアドバイザー 
                           福田 具可
(中之条町西中之条)



【略歴】法政大経済学部卒。小中学校長、スクールカウンセラーを経て、ぐんまフラワーパークアドバイザーの会会長、ぐんま日本花の会会長、中之条町花の会会長。


広がれ花のまちづくり



◎自宅から始めて地域へ



 花は、人々の心を動かし行動へと導く不思議な力を持っています。

 3月11日の大津波で、家を流されてしまった被災者が、庭に水仙が咲きだしたり、梅や桜が開花するのを見て「心が癒やされ、希望が湧き、元気づけられ、がんばろうという気持ちになった」と、テレビや新聞等が報じていました。

 戦後間もない1952(昭和27)年、敗戦で国民のすさんだ心に花を咲かせ、明るく住みやすい社会にしようと、松本市の一小学校教師の呼びかけで「花いっぱい運動」が始まりました。この運動はたちまち全国に広まり「全日本花いっぱい連盟」が結成され、各地で花いっぱいコンクールが実施されるようになりました。花いっぱい運動は、当時の人々の心に潤いをもたらしました。

 90年には、大阪市で国際花と緑の博覧会(花の万博)が開催されました。花の万博は基本理念に「自然と人間との共生」を掲げ、花と緑と人間生活の関わりをとらえ、21世紀に向けて潤いのある豊かな社会の創造をねらいとした一大イベントでした。

 翌年、花の万博の理念実現のために、当時の農水省と建設省の提唱で、全国花のまちづくりコンクールが始まりました。

 このコンクールの開催によって、花のまちづくりは全国各地に広まるとともに、質的な高まりを見せています。昨年は記念の20回目を迎え、受賞者は450人を超えて、全国各地で花のまちづくりのリーダーとして活躍しています。

 主催は花のまちづくりコンクール推進協議会で、事務局は公益財団法人日本花の会にあります。

 花のまちづくりを全国的に推進するために、都道府県や市町村との共催で、94年から毎年、地方大会が開催されています。

 コンクールや地方大会等で常に追求されてきたことは「花の社会性」でした。同協議会は「花と人との関わり合い、花と社会との関わり合いの中で、花が社会に及ぼすプラスの影響のことを『花の社会性』といい、花のまちづくりは、この花の持つ社会性をまちづくりに生かす市民運動」としています。

 このように、花のまちづくりは、「花の力」を借りたまちづくりとも言えるでしょう。

 花は種をまいてから数カ月で花を咲かせます。美しい花が咲くと人々が見にやってきます。「花の効果」はすぐに現れ、地域の活性化にもつながります。

 花のまちづくりは、その気になれば、誰にでもできるまちづくりです。まず自宅から取り組み、そして、地域へと広げていけたらと願っています。






(上毛新聞 2011年12月1日掲載)