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繊維製品企画会社グラムス社長  松平 博政(桐生市境野町)



【略歴】流通経済大卒。繊維メーカー勤務を経て2005年に独立。桐生市イクメンプロジェクト推進チームリーダー。NPO・ファザーリング・ジャパン会員。


「イクメン」とは



◎大人の生き方問われる



 「イクメン」という言葉が世間に広がって久しい。テレビや新聞でもイクメンの特集が組まれたり、芸能人パパたちも自らの子育て体験を語ったり、イクメンにまつわる話題には事欠かない。桐生市でも6月に桐生市イクメンプロジェクト推進チームが立ち上がり、私がリーダーを務めさせていただいている。

 では、「イクメン」とは何か? 厚労省のイクメンプロジェクトサイトによれば、子育てを楽しみ、自分自身も成長するパパのこと。パパの子育てが当たり前になれば、ママや子どもの可能性も広がり、社会が豊かに成長するはず。そう、いいことだらけなのだが、まだまだ誤解されている部分が多い。イクメンとは、限られた一部のパパだけのものではなく、大人として社会生活を送るすべての人々に関わることなのだ。もっと言えば、イクメン的な考え方を通じて、大人の生き方が問われていると私は考えている。子どもは大人をよく観察している。子どもが外で遊ばずに元気がない云々(うんぬん)、といったところで、その状況を作ってきたのは大人じゃないかと思うわけである。であれば、特に責任ある立場の方々に必要な考え方ではないだろうか。

 かくいう私も最初から育児・家事をやっていたわけではない。むしろ何もやっていなかったという方が正しい。仕事をして稼ぐこと、これが父親の家庭における唯一の役割だと信じて疑わなかった。案の定、現代の環境の中でそれだけではうまくいかない。それでもある時期を境に気づきを得て、好奇心を持って主体的に子どもに関わるようになると、あらゆることが新鮮に見えてきた。毎日の保育園の送りや行事などにことごとく参加し、保護者会長にもなった。会社員を辞め、子どもに関わる仕事をするために起業するなど、仕事と家庭の相互にシナジー効果が出るようになっていく。NPO法人ファザーリング・ジャパンの活動に参加するようになり、全国の同じ志を持つパパたちと知り合ったのも、家族の存在によってもたらされたものであり、自分にとって大きな財産になっている。イクメンにも家庭の数だけやり方がある。仕事や育児・家事を含めた生活全般について、自分たちの最適のやり方を自分たち自身で作り上げていく主体性こそがすべてにおいて大切なのだ。

 今回の連載では、ただ単にイクメン的な考え方が大事だと言ったところで、多くの皆さまには伝わらないと考えた。特に経営に関わる層の方々に向けて、いまのパパたちの実態をお伝えし、仕事と家庭の両立に悩みながらもどうしたら実現できるかを、私の実際の起業活動を通じて現在進行形でレポートしたい。また、アドバイスもいただきたい。仕事と家庭をどうマネジメントするか、父親の腕の見せどころである。






(上毛新聞 2011年12月4日掲載)