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◎行動力ある若者育てる 神流町の観光インストラクターとして仕事をして2年と4カ月が経過しようとしている。神流町は神流川の上流に位置し、東西に細長く川沿いに国道が通り、集落が点在する典型的な中山間地域だ。西上州、御荷鉾山系の懐に抱かれ、関東一の清流が町の中を流れて大正・昭和の面影を残し人情がある神流町が、私は大好きである。 町での仕事がスタートしたころは「何かしなくては」と、気ばかり焦る毎日だった。遠くに見える理想ばかり追いかけ、今自分のいる足元にかけがえのない大切なものがあることを見失っていた。そこに気付くのに半年も経過してしまった。歴史や先人が築きあげた伝統。一つの行事が長く続けばマンネリが蔓延(まんえん)してしまう。しかし、見かけだけを変えるのでは方向性がずれてしまう。行事の始まりまで思考を戻し、過去、現在、未来をしっかり見つめ計画を立てる。教訓として「壁に突き当たったら、立ち止まり足元を見つめる。そして、一歩が大きすぎるのであれば半歩前にでる」。常に前向きな考えを持たなければ地域の行事・イベントの活性化は図れない。これを基本に現在の業務に取り組んでいる。 神流町の年間を通しての大きなイベントとして春の「鯉こいのぼり祭り」、夏の「神流の涼」、秋の「神流マウンテンラン&ウォーク」がある。「神流の涼」と「神流マウンテンラン&ウォーク」はまだ3年ほどで歴史は浅いが、春の「鯉のぼり祭り」は今年で30回を迎える。1981年に100匹の鯉のぼり掲揚から始まり、現在では800匹を掲揚するまでになった。 30周年を迎え、今年は盛りだくさんの企画を考えていた矢先、東日本大震災が起こり、中止となってしまった。現在、来年に延期となった30周年を記念するにふさわしい、またお客さまに喜んでいただけるイベントになるよう企画中だ。しかし、この1回の休みは原点を見つめるには良い機会だったかもしれない。先輩方にいろいろ話を聞けたことは今後良い結果が出るような気がする。 だが、このイベントの抱えている大きな問題もクローズアップされてきた。それは後継者問題である。神流町も少子高齢化の波を受け、2人に1人が高齢者という現状がある。今よりももっと素晴らしい40周年を迎えるためには今から手を打たなければ間に合わなくなってしまう。そこで、新たな取り組みとして、数少ない若者(18歳以下)をイベント進行の中心で活動させる試みを考えた。年間通していろいろな行事、イベントにスタッフとして参加し経験を積み、ノウハウをもった行動力がある「ふるさと愛」をもつ若者を育てる会「かんなっ子倶楽部」を立ち上げた。これから地域において、どう育っていくかしっかりと見つめたい。 (上毛新聞 2011年12月6日掲載) |