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ザスパ草津U―23担当  蜂須賀 歩(草津町草津)



【略歴】前橋南高、拓殖大卒。都内のイベント会社に勤務後、2007年に草津温泉フットボールクラブ(ザスパ草津)に入社。同年からU―23チームを担当する。


ザスパ草津U―23



◎町で働きプロを目指す



 私が草津町に来て6年がたち、少しずつ町の皆さんに顔と名前を覚えてもらえるようになりました。まずは簡単にホームタウンである草津町で活動するアマチュアチームを紹介させていただきます。

 ザスパ草津がJリーグに加盟した後、「チャレンジャーズチーム(2005~06)」が誕生しました。当時の選手たちは、1年間という短い期間でトップチーム入りを目指すというコンセプトで活動していました。しかし、1年間では選手たちも成長を始めたところで終わってしまいます。そのため、数年間かけて選手をしっかり育成するという方針に変わり、23歳以下の選手で構成される「U―23(2007~)」の発足に至りました。選手個人の目標として、トップチームに上がり、プロ契約を勝ち取るという目標は一貫していますが、昨年からは群馬県サッカーリーグと天皇杯出場というチームとしての目標ができました。

 チーム発足当初のザスパ草津は「草津温泉で働きながらJリーグを目指す」というコンセプトの下、短期間でJリーグ入りを果たしました。現在活動している「ザスパ草津U―23」もその意思を継続しています。現在、選手は17のホテル・旅館で働いています(10カ所のホテル・旅館、2カ所の飲食店、5カ所の温泉施設等)。

 U―23は、他のアマチュアチームとは違い“町内で働くこと”をチーム加入の一つの条件としています。他のアマチュアチームであれば、誰かのお世話になりながらサッカーだけをしていくことも可能でしょう。しかし、U―23はサッカーだけに専念していくわけではありません。各職場での勤務を通し一緒に働く町の方とふれあい、チームでは教えられない社会人としての礼儀などを教わっています。社会人としてしっかりと自立してほしいという願いが込められているわけです。一緒に働いた選手がJリーグで戦うことで、よりチームを身近に感じてもらえるという、副次的な効果も期待しています。

 毎年、選手の顔写真入りポスターを作製し、選手の職場はもちろん町内の商店や飲食店に張り出しています。それを見た町の皆さんや観光客らが気軽に選手に声をかけてくれます。他の市町村では恐らくこうはいかないでしょう。これも、草津町の皆さんの温かさだと思います。初めて会う方でも「この間の試合は勝ってよかったね」と声をかけてくれ、サッカーの話で盛り上がることができます。特に、一昨年トップチームへ昇格し、現在も活躍しているDF有薗真吾選手とFW杉本裕之選手の活躍を気にしてくれているようです。

 多くの選手をトップチームへ送り込み、活躍してもらうことが、町の皆さんに対する最大の恩返しと思って日々活動しています。





(上毛新聞 2011年12月14日掲載)