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◎輪を広げ「有縁社会」に 子育て支援団体代表を務める私だが、そんな偶然を与えてくれたのは遊び歌作家、鈴木翼君(私よりも若いので翼君と呼ぶ)との出会いがあったからだ。 2009年、伊勢崎市内の保育園での園庭開放。そこで働く保育士だった翼君から子育て支援事業の手伝いを依頼され、私はボランティアの一人として加わった。私以外のスタッフ3人も保育士・幼稚園教諭の経験者だったが、「子どもと一緒に楽しんじゃおう」と気合を入れ過ぎず、気軽な気持ちで取り組んだ。 翼君は「お母さんたちはみな頑張っている」と認めてくれた。また「完璧を目指すのが子育てじゃない」「失敗したっていい。いつかはできるようになるよ」という言葉に安心させられた。とかく急ぎすぎる私たちに「ゆっくり、ゆっくりいきましょうね」と声を掛けた。母親たちの「大変な気持ち」に共感してくれ、自らが親子のオアシスになることを心がけていたように映った。 子育て支援事業に集ったスタッフは同年齢の子どもを持つママ同士なので、会話は自然と子育ての悩みになった。お互いの話を聞き、共感したり、励ましたり…。心置きなく会話ができるだけで、気持ちが楽になった。そのひとときが私には、心のオアシスに感じられた。 また園で得られる情報も貴重だった。ファミリーサポートセンターの活用法や、子連れで楽しめるスポットやお店を知った。わが子も他の子と触れ合うことで良い刺激を受けていたようだった。 翼君は2010年春、夢に描いていた遊び歌作家としてデビューすることになった。彼の保育園退職を機に、ボランティアスタッフも解散ということになった。ところが、子育て支援事業の参加者から「楽しかった。機会があれば、また集まりたい」という声が上がった。振り返ってみると、私たちの試みは、大人も子どもも一緒に楽しめる企画で、親子でストレス発散できる場所になっていたようだ。翼君という核があったことも大きかった。ならば、子育て支援団体として活動を続けようと「親子でハーモニー」はできた。そして私がなぜか代表ということになった。 無縁社会と言われる現代だが、有縁社会を作り出すきっかけとなることを目指して活動している。会の名称は「家庭の輪が歌のように広がっていってほしい」という願いが込められている。活動拠点だった絣かすりの郷が大震災の影響で使えなくなったが、今月から赤石楽舎で活動を再開する。スタッフ一同、自分たちの経験を生かし、子育て中のママを応援したいと思っている。 (上毛新聞 2011年12月15日掲載) |