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読み聞かせボランティア  片亀 歳晴(玉村町樋越)



【略歴】太田高卒。伊勢崎市職員を経てアート記録設立。解散後、ボランティアに専念。小さな親切運動本部特任推進委員、紙芝居文化推進協議会会員、玉村町選管委員。


現代ボランティア考(1)



◎自分の地域に恩返しを



 私は、約10年前から1カ月に10日前後「読み聞かせボランティア」と称し、主に県内地域の小中学校、学童保育、ミニデイサービス、グループホーム、老人会等にうかがい、絵本や紙芝居の読み聞かせをしています。

 そもそも私は今から40年前、結婚を機に伊勢崎市に住まいし、息子の成長に合わせるように、さまざまな組織や団体に関わってきました。それはカブスカウトであり、少年野球、PTA、子ども会育成会、青年会議所、ロータリークラブ等々でした。その頃は、ただただ夢中で過ごしてきましたが、今にして思えば、これらは、いずれもボランティア活動の一環であったのかと、今さらながら懐かしく思い返しています。

 私がボランティアの語源を知り、驚いたのは30年も前のことです。TBSラジオから流れてきた「誰かとどこかで」という番組の中で、パーソナリティーの永六輔さんが、ボランティアはラテン語の「VOLO」に由来し、もともとは中世ヨーロッパ時代、十字軍の遠征に際し、志願して戦いに加わった兵士、すなわち義勇兵を指すと話しているのを耳にしたからです。

 最近ではボランティア自体、日常生活にすっかり溶け込み、その種類も、障害者・高齢者等への支援、リサイクル活動や環境保全など実に広範にわたっています。さきの東日本大震災の折、その後の復旧・復興のため、多くのボランティアが現地に赴き、活躍されたことは記憶に新しいところです。

 私はその後、玉村町に移り住んで17年が経過しました。引っ越した当初は、まだ会社の経営を継続していましたので、地域との接点は隣組のお付き合い程度で、ごく限られた範囲でした。しかし、6年ほど前、少年野球を指導する監督・コーチと出会い、その熱心さに心打たれ、以来、差し入れ等を通して交流を継続しています。これが、いわば私の玉村町での地域デビューであったわけです。

 子どもたちが参加しているスポーツは、野球以外にもさまざまありますが、自分の時間を犠牲にしながら、練習や試合を通じ、ルールをはじめ、あいさつや礼儀・規律などについて厳しく教え、見守り続けている指導者のボランティア精神には、ただただ頭の下がる思いです。

 こうした地域との密接な関係は、まさにボランティアを育む土壌であり、自分が地域に生かされていることを思えば、何らかの形で地域に恩返しをすべきと考えるのは、むしろ当然のことのように思います。

 既に仕事をリタイアし、時間的にも余裕を持って過ごされている皆さん、地域に目を向けてみませんか。意外なところから新しい自分や仲間を発見し、しかも自分でも楽しめるボランティア活動との出会いの機会があるかもしれません。





(上毛新聞 2011年12月22日掲載)