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四万温泉協会長  柏原 益夫(中之条町四万)



【略歴】中之条町生まれ。群馬大工学部卒。柏屋社長。2010年から四万温泉協会長。四万温泉や宿を日本のみならず世界の人々に知ってもらう方策を日々模索中。


四万温泉の魅力



◎広く伝える活動が大切



 「世のちり洗う四万温泉」。県民なら誰でも知っているフレーズで、四万温泉の知名度は県内ではとても高くなっています。

 一方、県外では、わたしたちが思っている以上に四万温泉は知られていないのが現状です。首都圏を対象に行った調査では、約85%の人が四万温泉を知らないか、忘れてしまっているという結果も出ています。

 群馬ではメジャーでも県外では途端にマイナーになるところは、上州名物の焼きまんじゅうと良く似ていますね。でも、実際に四万温泉に泊まりにお越しくださる方がどこからいらっしゃるかを調べると、実は、県内のお客さまはそう多くないというのが実態です。

 そこで、わたしは、県内のお客さまと県外のお客さまに対して別々のアプローチでの広報活動が必要であると思っています。

 県外のお客さまに対しては別の機会に譲り、今回は県内のお客さまに対してどのようにして四万温泉の良さをお伝えするかについて考えたいと思います。

 今年は群馬デスティネーションキャンペーンということもあり、四万温泉でもたくさんの企画やイベントを実施しました。その中には「和洋スイーツ巡り」、町主催の「中之条ビエンナーレ」など、宿泊しなくても参加できるイベントも多く、実際、日帰りで初めて四万にお越しのお客さまがたくさん増えました。

 その方たちには「アートも良いけど四万温泉がこんなにいい所だとは知らなかった」「今度は絶対泊まりで来る」等、来てみたら四万ってとても素敵だった、と思っていただけました。

 一度お越しいただければ四万温泉の良さを感じていただけることがわかったので、日帰りでもいいので、お越しになるきっかけ作りとなる企画を開催するのもひとつの方法として考えています。しかし、わたしたちが何よりも反省しなければいけないのは、まだ来たことのない方々に四万温泉の良さを十分お伝えしきれていなかったことです。

 どうすれば、もっと四万温泉の良さを知っていただけるようになるだろうか? そんな思いでいた矢先、四万温泉の全ての旅館を網羅した書籍「あなたにも教えたい四万温泉」(小暮淳著)が9月に出版されました。この本は、著者の小暮さんが、全ての宿の主人女将の話をじっくり聴き、自らお風呂に入って書き上げた渾身(こんしん)の一冊で、四万温泉の個性豊かな宿の様子が見事に表現されています。今年度後半の四万温泉は、この本の拡販もひとつの切り口として県内のお客さま向けの活動を行うつもりです。

 近くに住んでいらっしゃる県民の方にこそ、ぜひ泊まりに来ていただきたい。そんな思いでわたしたち四万人は地域の良さに磨きをかけ、県内の皆さまのお越しをお待ちしています。







(上毛新聞 2011年12月26日掲載)