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NPO法人グリーンハート理事長  横堀 充則(伊勢崎市太田町)



【略歴】伊勢崎市生まれ。明和県央高卒。飲食店経営。2009年、市内の若者の活動拠点としてNPO法人を設立。波志江沼イルミネーション実行委員。


NPOいらない社会へ



◎歴史に学び「心」大切に



 グローバル化が進む日本ですが、「今の時代」に本当に必要なことは何でしょうか?

 世界を見渡す前に、私たち日本人は何かを見失っているのではないかと思います。上場していく企業、雇用の安定、科学技術が進み便利になる世の中、私たちが求める幸せは本当にその先にあるのでしょうか。

 私たちは普段からさまざまなボランティア事業を行っています。ごみもただ拾っているだけなら単なるごみ拾いですが、ごみまでダッシュで行けばスポーツになります。一人孤独に活動するボランティアは退屈です。しかし、仲間と笑顔で取り組めば交流促進の活動にもなります。

 ボランティアは簡単な単純作業ではありません。事業一つ一つに付加価値を見つけ出し、小さな活動でさえ「公益性」を持ちます。私はNPO法人活動の素晴らしさの根源にあるのは「上下関係のないつながり」と感じます。つまり年齢や性別、学歴、資格など関係なく一つのミッションに取り組めることに素晴らしさがあると思います。

 私には夢があります。それはNPO法人自体がなくなることです。驚く方も多いと思います。もともとNPO法人の考え方自体が輸入しているものです。社会のため、地域のため、人のため…。日本人はもともとNPOの概念よりも素晴らしい“もの”を築いてきました。

 延享3(1746)年、江戸の人口は120万人でした。同じ時代のロンドンは70万人、ニューヨークにいたっては約2万人と言われています。国土は小さく、しかも島国の日本、江戸が世界最大の都市として栄えたのはなぜでしょうか。

 「もったいない」と、日本人はごみをほとんど出さなかったと聞きます。糞ふんは肥料になり、田園は川へ養分を伝え、江戸湾を潤わせ、人と自然が調和した世界最大の「エコシティー」でした。人々の助け合いの例としては寺子屋、長屋文化があります。しかし、今の日本にそういった日本らしさはあるでしょうか。NPO法という法律に縛られたものなど、本来日本人には不必要だと思います。グローバルなこの時代で世界の最先端を学ぶことが良いことだとは思いません。

 世界に誇れる素晴らしい文化を築いてきた日本の歴史に学び、「時代に調和した現行の日本文化」に変えていくことが必要だと思います。私たちにできること、それは地域をしっかり見つめることだと思います。

 経済や社会発展、全てにおいて、築き上げるのは「人」だと考えます。利益のため、会社のため、日本のため、それは間違いです。未来永えい劫ごう、全ては「人」のためです。

 経済成長の時代ではありません。今の日本は「心の時代」です。今一度、身の回りを見つめてください。






(上毛新聞 2012年1月5日掲載)