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◎素早く被災者受け入れ 川場村が、満を持して迎えた「第13回米食味分析鑑定コンクール国際大会」は、地元川場村の雪ほたかをはじめ、利根実業高校、地元小学校なども金賞を受賞するなど好成績を収めた。 その中で、米作りの達人数名による講演会があった。質問コーナーでは、肥料はいくらくらいかかるのかなど専門的な話になっていった。そして、ある男性が「放射能問題で、米が作れなくなった。一体どうしたらよいのだ」と、質問を講師にぶつけた。講師の米作り達人は「個人的な考えなのですが」と、静かに心を熱くして答えてくれた。 次の講師は福島の方だった。「今回、この会場で、放射能の話をしようかどうしようかと迷ったのですが、しないわけにはいきません」と語り出した。本当に大変な状況が手に取るようにわかった。会場のだれもが、このぶつけようのない怒りに打ち震えていた。 そんなとき、米作りはまだ新人だという人から発言があった。 「言いたいことが二つあります。一つは健体康心(けんたいこうしん)。健康な心と体が大切ということです。もう一つは、健康はすべてではない、だけど健康でなければすべてがない」 会場のだれもがなるほどと考えた。大きな拍手がわき起こった。同じ米を作る職人だからわかる大変さ、そして喜び。切せっさ磋琢たくま磨してコンクール金賞をねらう人たちが、ライバルを心から応援している。会場はなんともすがすがしい空気に包まれた。 被害を受けた方を応援した話と言えば、なんといっても利根沼田では片品村の被災者受け入れの「素早い対応」である。村長に、なぜこんなに早く対応できたのかと聞くと、「地元のみんなが、同じころに同じようなことを考えたのだ」と。受け入れのことを県に報告にいく車の中で、村長が受けた電話は「片品村に被災者を受け入れましょうよ」という村民からの熱い心だった。村長は役場職員に「問題を恐れるな」と言い続けた。役場職員、村民、関係各所みんなが頑張って受け入れて、大変な貢献をしてくれた。 今では片品村は「日本一やさしい村」と全国から言われているそうだ。ささやかながら、私の在籍するFM OZEで、「ハートウオーミング大賞」を片品村の村民のみなさんに送ることになった。心も身体もお金も使ってくれたすべての方々に感謝の気持ちを贈りたい。 最近あちこちで使われた「絆」という文字。今年の年賀状には「頑張ろう日本」という文字も多く見られた。新しい年を迎え、ここで新鮮な空気を心に蓄え、前に進みたいと思った。 (上毛新聞 2012年1月9日掲載) |