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大間々町商工会青年部長  吉沢 正樹(みどり市大間々町)



【略歴】桐生工業高、日本大生産工学部卒。大手建設会社を経て、父親が経営する測量器メンテナンス会社に入社、現社長。2011年4月から大間々町商工会青年部長。


大間町と最初の交流



◎「マグロと醤油が結婚」



 自分と名前がそっくりな人に遭遇した経験はないだろうか。また、そんなとき、非常に親しみを感じるのはなぜだろうか。

 「大間町商工会」と「大間々町商工会」。一瞬見ただけでは同じに見えてしまう。二つの商工会青年部は町名が似ていることなどが縁で一昨年から交流を始めた。青森県下北郡大間町は本州の最北端に位置し、人口約6千人の町である。

 皆さまもご承知の通り、あの有名な日本一のマグロ産地である。なぜ日本一かというと、一言で言えばもちろんその味だが、実際にはそれだけではなかった。10月に行われる「大間のマグロ祭り」は大間町の代表的な祭りである。われわれ大間々町商工会青年部のメンバーは日本一のマグロを求めて大間へ向かった。

 一昨年、高速道はETC休日1000円という制度があった。当時はそのメリットを最大限に生かそうと車で青森へ向かう旅行者も少なくなかった。その影響もあり、立ち寄ったサービスエリアはどこも混雑していた。やはり片道10時間に及ぶ780キロの道のりは遠かった。そのおかげで十分過ぎるほどの音楽が聴けて、仲間同士でたっぷり会話ができた。

 青森県に入ってさらに2時間ほど走り、峠を越えると海が目に飛び込んできた。感動のあまり思わず「うわぁ~」と叫んでしまった。何とも言いようのない美しい青い海だった。ここで捕れるマグロのうまい理由が分かる気がした。「大間まであと○○キロ」と距離が近づくにつれ、興奮度は高まっていった。

 午後1時半にマグロ祭り会場に到着した。辺りは観光客でごった返していた。人波をかき分けて「よぐきたの~」と大間町商工会青年部長の舘脇淳氏が出迎えてくれた。早速会場を案内してもらった。テントには大きく「大間高等学校・大間幼稚園・大間商工会」と書かれていた。それだけを見ていると、まるで地元にいるかのような錯覚をしてしまう。初めて来たのに懐かしく思った。

 ちょうどそのときマグロの解体ショーが始まった。大きな掛け声とともに200キロの巨体がプロの手で見事に解体されていった。カマと呼ばれる頭の部分は競りにかけられた。この競りは一般の方も参加可能だ。昼食をまだとっていないので空腹に響いた。

 遅くなったが待ちに待ったマグロ弁当をいただいた。群馬の土産としてみどり市大間々町にある岡直三郎商店の「日本一醤しょうゆ油」を持参した。創業220年の木桶で仕込んだ本格的な醤油だ。その醤油にマグロをつけた瞬間、舘脇部長が「日本一のマグロと日本一の醤油が結婚した」と言った。そのとき食べたマグロのおいしさは格別だった。交流が始まった最初の日であった。





(上毛新聞 2012年1月19日掲載)