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日本花の会 評議委員・花のまちづくりアドバイザー 
                           福田 具可
(中之条町西中之条)



【略歴】法政大経済学部卒。小中学校長、スクールカウンセラーを経て、ぐんまフラワーパークアドバイザーの会会長、ぐんま日本花の会会長、中之条町花の会会長。

花の効用・効果



◎福祉や医療分野で活用



 花を育てたり、見たりといった花との関わりを通して、花のもたらす効用・効果について数回にわたりふれてみたいと思います。今回は、期待されている園芸福祉や園芸療法について花のまちづくりの視点から述べてみます。

 花は、見て美しいと感じたり、よい香りがしたり、五感を通して多くは私たちに快感覚を与え、心を癒やし、元気や幸福感を与えてくれます。このように花や緑の持つ心身への好ましい効果を、生きがいや健康の維持増進、症状・障害の改善等に活用しようとする園芸福祉や園芸療法が注目されています。

 園芸福祉は、園芸活動を通して、皆が生きがいを感じ、幸せになることです。今日、高齢化が進み、高齢者が元気で、幸せに暮らせる社会の実現が最大の課題の一つと言えるでしょう。花を育てたり、野菜を作る園芸活動は、花が咲いたり、収穫の楽しみがあったりして作業も楽しいものとなるでしょう。

 高齢者が地域のコミュニティーガーデンや花のまちづくりのグループに入って、一緒に無理のない参加ができたらと思います。子どもや孫と一緒になって活動できたら、彼らの成長にも大きな期待がもてるでしょう。このようなコミュニティーガーデンや花のまちづくりへの参加で、地域のさまざまな人たちとの交流が生まれ、若い人たちから元気をもらったり、有意義な社会参加ができたりして、喜びや生きがいにつながるでしょう。さらに多様な園芸作業は、老化による精神の荒廃や身体機能の低下を遅らせることが期待できるでしょう。

 こうして、元気で自立できる高齢者が増えれば、本人や家庭にとってはもちろん、社会にとっても大きなプラスとなります。

 園芸を医療に利用する園芸療法があります。これは一人一人の障害や症状に合わせて、医学、心理学、園芸学等の専門知識に基づき障害や症状改善の目的にそってつくられた園芸作業を作業療法士(園芸療法士)の指導のもとに実施するものです。園芸療法のために工夫された施設(ガーデン)や障害等にあわせて工夫された用具も作られています。

 日常的に障害者支援の輪が広がったり、交流の輪ができたりしたらと願っています。例えば、園芸ボランティアらが、障害者が機能訓練のために作った作品を街角などに展示・飾花してあげられれば、花のまちづくりにつながり、障害者の社会参加や生きがいにもなるでしょう。さらに、健常者との交流も生まれ、相互理解が深まり、日常的に障害者支援の輪や交流の輪が広がることが期待できるのではないでしょうか。





(上毛新聞 2012年1月27日掲載)