,

視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
.
繊維製品企画会社グラムス社長  松平 博政(桐生市境野町)



【略歴】流通経済大卒。繊維メーカー勤務を経て2005年に独立。桐生市イクメンプロジェクト推進チームリーダー。NPO・ファザーリング・ジャパン会員。


仕事と家庭



◎同じ資質が求められる



 昨年のクリスマス、家族4人で予約していたレストランへ行こうとした矢先、妻が体調不良を訴えた。そして、突然の入院。年末年始の予定はすべてキャンセルし、妻のサポートを優先することにした。子どもたちはちょうど冬休みで、妻の実家に預けることになっていたため、翌日送っていった。これは本当に助かった。洗濯、料理、大掃除など、時間さえあればやれる自信はあるが、そこに子どものことが関わるとどれだけ大変か。さらに仕事が待っている。妻や多くのママは普段やっていることではあるのだが。いずれにしても、こんなときは一人ですべてを完璧にこなそうとは考えないことだ。そして、ここである決意をすることになる。

 私は、子ども服飾関連の会社を経営している。妻も一緒に仕事をしているが、妻にしか分からない仕事があるため、はかどらない。そこで近い将来のことを考え、やることの優先順位を決めた。情報の共有化を徹底すること、優秀な人材を確保すること、整理整頓をきちんとすること。ご覧のように、実行しようとする事項は、すべて当たり前のことである。それらを自らのものにするには大変な労力を要するのだが、一気に進めなければならない、と新年に当たって決意することとなった。

 この一件で学んだことは、3点にまとめられる。まずは、タイムマネジメント。目標となる時間を決めたら、なるべく残業をせず集中してすべてをやりきる。そうすることで、ほかの仕事の時間をつくる。妻や多くの働くママたちは、当たり前のように時間をやりくりしてこなしているのだ。 次に人材育成。子育てはまさに、人材育成という大事業である。声かけひとつ、承認ひとつで子どもは大きく変わる。これは大人も同じではないだろうか。やる気に満ちあふれた人材をつくることは、地域にとっても大きな財産である。

 三つ目はマルチタスク。料理の段取り、子どもの習い事の管理や学校行事の把握など、家庭には同時にたくさんの事業をこなさなくてはならない場面がたくさんある。これも責任ある立場の仕事になればなるほど、同じ状況であるといえる。

 仕事と家庭を両立すること。これは時代の潮流である。世の中がどんな変化をしているかを把握し、自分たちなりのやり方を見つけ導いていく。仕事でも家庭でもリーダーには同じ資質が求められる。夫も妻も、子育てをするパートナーとして同等に近いスキルを身につけることは、仕事においても重要な示唆を与えてくれるのだ。突然、妻がいなくなったらあなたはどうしますか?






(上毛新聞 2012年1月30日掲載)