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視点 オピニオン21
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四万温泉協会長  柏原 益夫(中之条町四万)



【略歴】中之条町生まれ。群馬大工学部卒。柏屋社長。2010年から四万温泉協会長。四万温泉や宿を日本のみならず世界の人々に知ってもらう方策を日々模索中。


四万のブランド価値



◎1番のカテゴリー探す



 「世のちり洗う四万温泉」。上毛かるたで使っていただいているこのフレーズは、60年以上たった今でも四万温泉のイメージを表すのにピッタリです。

 これは、私たちの先輩がこのフレーズに代表される四万温泉の良さを伝え続け、磨き続けてきたということにほかなりません。本当に頭の下がる思いです。

 泉質主義の「草津よいとこ薬の温泉」、日本有数の集客力を誇る「伊香保温泉日本の名湯」、アウトドアスポーツで脚光を浴びている「水上、谷川スキーと登山」など、他の温泉もまたしかりです。つまり、群馬の4大温泉は60年以上も前からしっかりすみ分けができていて、ブランディングされていたのですね。

 ブランド化された温泉地がたくさんある―これはブランド力最下位に甘んじている群馬県にとって大きな財産だと思います。

 一方、前回も書きましたが、私たちの最大の反省点は、まだお越しいただいたことのない方々に、四万温泉の良さを十分お伝えしきれていなかったことにあります。

 そこで、四万温泉のブランド価値をより磨き、分かりやすい形でお客さまにお伝えしていくこと=四万温泉のブランド価値のさらなる向上がとても大切だと思っています。

 最も分かりやすいブランド化は1番になることですね。世界一高い山は誰でも知っていますが、世界で2番目の山を知っている人はそう多くはないでしょう。

 でも、世界で1番になるのは難しいので、考え方を変えてみます。富士山は世界で何番目に高い山なのかは、たぶん誰も知りませんが、日本一であることはみんな知っています。

 つまり、1番になれるカテゴリーを探したり作ったりすれば良いのです。 四万温泉はどんなカテゴリーやポジションで1番なのか? 「○○○の旅行なら四万温泉がピッタリです」とか「四万温泉って◎◎◎なリゾート地」と、誰に聞いても同じことを言っていただけるようになれば最高です。 もしかしたら、○○○の部分は、とても狭いカテゴリーかもしれません。しかし、幸い四万温泉の規模は草津温泉の10分の1程度ですので、思いっきり絞り込んだカテゴリーのなかでも十分に生きていくことができます。 この○○○が何かは、四万温泉で暮らす私たちや四万温泉に何度もお越しいただいている四万温泉ファンのお客さまの頭の中にはしっかり刻まれているはずです。それを分かりやすく明確な言葉で表現できるよう、四万温泉に関わるたくさんの皆さんと議論しながら導き出し、四万温泉の広報活動に生かしていくことが、私たちに課された大きく重要な課題だと思っています。






(上毛新聞 2012年2月20日掲載)