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◎事故の危険性意識して 近年、車輪付きのキャリーバッグが普及し、旅行や帰省、出張など、さまざまな移動の際に使われています。体力がない人でも、重たくて大きな荷物を運ぶ時に便利ですが、国民生活センターに事故の情報が多数寄せられています。 人の多く集まる繁華街やターミナル駅で起きる事例も少なくありません。 そこで、東海道新幹線の新大阪、京都、東京の3駅の構内において、キャリーバッグ利用者の行動を調査してみました。調査場所は各駅の在来線乗換通路で、それぞれ2日間ずつ、各日2~4時間行いました。 車輪付きキャリーバッグの利用者を観察して、性別、年齢、持ち方(後ろ・横のどちらでキャリーバッグを引いているか)、人に迷惑な行動(携帯電話利用・立ち止まる・方向転換)、ニアミス行動(人の足を踏む・立ち止まらせる・物にぶつける・人にぶつける)などで分類をしました。 調査の結果、車輪付きキャリーバッグ利用者のうち、迷惑な行動が発生する率は、各駅で10%~20%でした。迷惑な行動は3駅合計で28件見られ、人への接触も3駅で計4件、人の足を踏むケースは1件ありました。 迷惑な行動をとった人は、年代別ではいずれも中年層の割合が多く、性別では女性の方が若干多く見られました。キャリーバッグ利用者全体を見ると、一人での利用が多く、団体やグループでの利用は多くありませんでした。しかし、団体やグループでの迷惑の行動が多く見られました。 持ち方を見ると、後ろ持ちのほうが、横持ちに比べて人を引っかけるなどの危険性が高いのですが、3駅とも利用者の7割が後ろ持ちをしていました。 迷惑な行動としては「横切る」や「立ち止まる」が多く見られました。 駅ごとに特徴があり、東京駅では左側通行のところに、上りエスカレーターが右手にあるため、列を横切る際に人と交差する事例が多くありました。 また、新大阪駅では、新幹線との乗換改札口の真上に列車時刻や発車ホームの電子掲示板があるため、通路上で立ち止まって確認するという動作が見られました。京都駅では階段を上ってすぐのところに乗換案内板があるため、立ち止まって見る人が多いなど、駅の構造による違いがありました。 その他、走りながらキャリーバッグを引いたり、携帯電話を使用しながら引く人もいました。 車輪付きキャリーバッグは大変身近で便利なものですが、一人一人が事故の危険性を意識しながら利用することが必要なのかもしれません。 (上毛新聞 2012年2月22日掲載) |