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◎自然と生活が寄り添う 環境教育法の改正法が今年10月1日の施行に向け準備が進んでいるようですね。この法律には個人的に随分期待しています。これまで2回に分けてお話ししましたが、今後、小学校における自然環境教育がこの法律を存分に生かし、これまでの活動が実を結び、すべての子どもたちに感性を磨く場を得る喜びを与えてほしいとの思いがありました。 一方、子どもたちの生活環境を支えているのは学校だけではありません。子どもたちが生活するそれぞれの地域でも、この法律を存分に生かした活動が期待されます。 前橋市は「環境都市宣言の街」「水と緑と詩のまち」「生命都市」などをうたい、市内にはそれぞれ特徴ある地域が25地区あります。その特徴は地域の伝統や習慣といった多彩な地域環境です。私たちを取り巻く自然環境と生活環境は背中合わせであり、自然環境と生活環境が寄り添ってこそ魅力ある地域環境になると思っています。 朝倉小の「学校ビオトープ」も周辺環境にたくさん影響を受けています。上川淵地域には多くの古墳が点在する朝倉広瀬古墳群があり、古人の文化が息づいています。当時の住居(竪穴式住居)跡など遺跡を多く出土します。学校近くの八幡山古墳には多少の雑木林があり、学校ビオトープとの間で生き物の行き来もあります。 歴史ある文化を今、ここにもう一度呼び起こそうと活動が始まっています。地域づくりに思いを寄せ、安心安全で健康な地域生活を求める住民や農産物生産者ら、志を共にする人たちの集まりが「上川淵地域づくり協議会」です。 特徴的なのが古墳時代に思いを寄せて作る古代米で、地域の魅力の一つになっています。古代米を収穫した後、その稲藁(わら)で竪穴式住居を作ります。竪穴式住居で使い終わった稲藁を学校ビオトープのカブトムシが食べて育ち、カブトムシの幼虫が作った腐葉土でビオトープの植物たちが育ちます。そしてそこで遊ぶ保育所の子どもたちや生徒たちがいる。この一連の流れのすべてが環境教育としてのエコサイクルそのものです。 環境を地域の中でどう活用し魅力に変えていくかが知恵の出しどころです。前橋市ではそれぞれの地域で持ち味の違う工夫を凝らした「地域づくり」を展開しており、他地域であっても取り組みによっては相互に乗り入れ、イベント開催や情報交換を行うのもいいでしょう。知識や知恵を存分に出し合い、特徴ある楽しい地域が集まった街こそが「魅力あるまえばし」に育つと信じています。あなたなら環境教育法をどう使いますか。 (上毛新聞 2012年3月2日掲載) |