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視点 オピニオン21 |
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◎複合ビルの“再生”願う 私が所属する地元ラジオ放送局のFM OZEでは毎月1回、フリーマーケットを開催している。弊社は沼田市下之町にあるグリーンベル21の5階にスタジオを設けている。リスナーと交流するためのスタジオ前フリーマーケットである。 「あなたがラジオに出ている人ですか? いつも聴いていますよ」「まあ、ありがとうございます」。こんなやりとりが、あちこちで交わされる。 ある女性が私のところにやって来た。「薮原さんは覚えていないかもしれないけれど、リスナープレゼントに当選してFM OZEに取りに行ったとき、娘が薮原さんと同じ幸子って名前で、そうしたら薮原さんがゆきこって名前はいい子になるわよ、って言ってくれたんです。ほら、こんなに大きくなりました」と、かわいい女の子を、そう、幸子ちゃんを私に紹介してくれた。いやあ、年を取るはずだと、ひとしきり感慨にふけった。 にぎやかに過ごしている中、おじいちゃんとお孫さんがニコニコ笑いながら、フリーマーケット会場を通り抜けていった。ところが、すぐに戻ってきて、何やらけげんそうな顔で「ここにあったゲームセンターはなくなったのかい? ハンバーグの店もなくなっちゃったねえ。ここには、なにがあるんだい?」 大型複合ビルの核店舗が撤退した、という話は県内でもよく聞く。次にビルが生まれ変わるまでには、紆う余よ曲折、大変なことがあるだろう。一体、誰がどのようにして生まれ変わらせてくれているのか、それぞれのビルに聞いてみたい気がする。 「あなたはいつも明るく番組をやっているけれど、グリーンベルのあのさびしいビルの中でやっていると思うと、なにか不思議な感じよね。FM OZEはあのビルから出て行かないの?」などと言う人もいる。 ビルの全体の状態がどうであれ、FM OZEは毎日きちんと放送を続けている。防災のための訓練放送、火災が起きたときの緊急放送など、24時間体制を整え、地域メディアとしての役割を果たすべく、日々活動しているのだ。 今後、このビルがどうなっていくのか、地域にとっても、弊社にとっても、大きな問題であることは間違いない。もちろん、地元の方たちがいろいろと手を尽くしてくださっていることは、よく分かっている。時間のかかる問題なのだ。今はただ、地域の人たちは見守っていてほしい。そして考えてほしい。地域の活性化とは、一体何なのだろうかと。 いつか明るい光が見えるよう、FM OZEは毎月のフリーマーケットを開催している。 (上毛新聞 2012年3月4日掲載) |