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視点 オピニオン21
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紙芝居屋めるへんしあたあ主宰  信沢 淳一(安中市松井田町)



【略歴】大東文化大を卒業後、郵便局に34年間勤務。2009年に紙芝居屋めるへんしあたあを設立、紙芝居の出前公演を有料化した。演じ方や制作の指導もしている。


紙芝居を楽しもう



◎観客に一体感、心通う



 紙芝居を10倍楽しむには、一番前の真ん中の席に座りましょう。相撲観戦では、砂かぶりの溜(たまり)席のようなものです。紙芝居舞台にかぶりつきで、自分一人で見ているように錯覚します。隣の人とは肩がぶつかるくらいがちょうどいいんです。なぜなら、その人の感動や笑いが伝わり、面白さが倍増するからです。

 おかしい時は笑いましょう。演者に声をかけられたら、大きな声で答えましょう。一体感と共感が紙芝居を見ている観客集団に広がり、テレビや映画では味わえない、心通う世界になるのです。

 紙芝居は身近なところで無料で借りられます。わが町、安中市の松井田図書館には1571冊の紙芝居があります。紙芝居の部屋があり、内容を確認できます。年に数回、書庫にある紙芝居と入れ替えがあります。舞台の貸し出しもしています。紙芝居の管理が難しい図書館も多数ある中で、この図書館の紙芝居ケースなどは工夫され、取り扱いも良くできています。 このところ、「上毛新聞読んでいます」と声をかけられます。ありがたいことです。「どこで紙芝居を見ることができるか」とも聞かれます。私を呼んでくだされば、どこでもうかがいます。

 昨年3月11日以降、日本は元気がなくなり、家から出かけなくなったり、イベントも少なくなったりしてしまいました。そんな元気のない日本を盛り上げたいと、私の所属している「群馬県紙芝居研究会」は4月15日午後、高崎駅の東口ペデストリアンデッキを高崎市からお借りして、「東日本震災復興支援元気応援ストリート紙芝居」と銘打ち公演をします。演者は6人で、普段はそれぞれ、ボランティアで児童館や図書館、老人会、学校などで活躍しています。無料公演です。

 当日演じる紙芝居は、市販されているものや、群馬県内の民話の手作り作品などです。

 昨年11月13日に高崎駅西口で1回目のストリート紙芝居公演をしました。午前中は、告知を見て来た人や昔を懐かしむお年寄りらが集まりました。道行く多くの人は忙しそうで、立ち止まらずに、横目で眺めて通り過ぎていきました。午後になると、それぞれ用事も済んだようで三々五々集まり、一時盛り上がりました。しかし、あちこちでゲリラミュージシャンも現れたりして、電源を持たない生声の私たちは、早々に終了しました。

 今回のストリート紙芝居では、この経験を十分生かし、道行く人の足を止める発声や話術、その場にあった内容の紙芝居、目立つ衣装など、再度考えて臨むつもりです。紙芝居に興味を持っていない人にも、日本文化の紙芝居を知って、楽しく元気になってもらいたいです。





(上毛新聞 2012年3月12日掲載)