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大間々町商工会青年部長  吉沢 正樹(みどり市大間々町)



【略歴】桐生工業高、日本大生産工学部卒。大手建設会社を経て、父親が経営する測量器メンテナンス会社に入社、現社長。2011年4月から大間々町商工会青年部長。


大間町との絆



◎今夏にも「姉妹青年部」



 一 お互いに楽しく友好的な青年部の姉妹関係を約束します。

 二 お互いに遠くても姉妹の絆を忘れず困った時には助け合うことを約束します。

 三 お互いの青年部の家族、仕事、町がより幸せに発展することを約束します。

 青森県の「大間町商工会青年部」と「大間々町商工会青年部」が、名前がそっくりなことが縁で交流を始めてから2年目を迎えた。全国初となる「姉妹都市」ならぬ「姉妹青年部」の調印式を今年の初夏にも行う予定で準備を進めている。冒頭に挙げた3項は姉妹青年部締結の素案だ。実際には青年部同士なので兄弟と呼ぶ方がふさわしいかもしれない。交流を重ねる度に少しずつだが大間と大間々の似ているところや違いが分かるようになってきた。

 大間町は前回もご紹介したように、本州最北端に位置する人口約6千人の町である。昨年の大間町商工会の新年会に、みどり市大間々町にある創業264年の奥村酒造の樽(たる)酒を贈った。新鮮な香りが漂い、本当においしいと評判が良かった。大間町には蔵元はなく、地酒は珍しいとのことだ。

 今冬は日本列島が大寒波に見舞われ、下北半島も激しく雪が降り続き、ニュースで放送されたように数百台の車が一晩中立ち往生してしまった。大間町商工会青年部長の舘脇淳氏に連絡を取ったら「こんな経験は生まれて初めてだ」と語っていた。しかし、こんな厳冬でも大間町はそれほど雪が積もらないことをご存じだろうか。気象の関係で絶えず強い横風が一方向から吹きつけ、地表に積もった雪は吹き飛ばされてしまうからだ。この時季は電柱の側面に雪が積もる珍しい光景が見られる。

 さて、大間のマグロがなぜブランドになったかというと、ただ高値で取引され、単にうまいだけではなかった。それは夏から始まる。マグロが釣れる時季になると一斉に漁に出る。大物をいつも釣るチャンピオンがいる。船や釣り具、漁法は他の人とほぼ一緒だそうだ。何が違うかというと、たった一つ「絶対に釣る自信がある」ことだという。初競り前は荒波の大海原へマグロを求めて船を出す漁師の人たち。皆、命を懸けて仕事をしている。

 大間に関して紹介しておきたい団体がある。「あおぞら組」だ。かつて大間―函館間の津軽海峡フェリーの廃止の話が出たことがある。その時は2万人超の署名を集め、全力で行動し廃止を阻止した。また、マグロ一筋のロゴの考案やフェリーの出迎え活動等町おこしをけん引している。熱い魂を持っている人たちが大間にはたくさんいる。

 商工会青年部の目的は全国同じだ。皆同じ悩みを抱えている。言葉に出さなくてもお互いの苦労が分かる。大間々も負けてはいられない。






(上毛新聞 2012年3月13日掲載)