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日本花の会 評議委員・花のまちづくりアドバイザー   
                          福田 具可
(中之条町西中之条)



【略歴】法政大経済学部卒。小中学校長、スクールカウンセラーを経て、ぐんまフラワーパークアドバイザーの会会長、ぐんま日本花の会会長、中之条町花の会会長。


花づくりの教育的効果



◎生きる力を身につける



 今、子どもの生きる力が求められています。生きる力は、子どもの豊かな発達によって可能であると考えます。そこで、花のまちづくりの教育的効果について述べてみます。

 子どもの豊かな発達は豊かな心、豊かな体力、豊かな学力等を身につけた発達であり、生きる力は、その結果として身につくと考えます。子どもの生きる力は、豊かな生活体験によって育つものです。特に、今日の子どもたちにとっては、自然体験や人間関係を豊かなものとする生活が求められています。これらの機会として最も優れた活動の一つが、花を育てる活動・花のまちづくりへの参加でしょう。

 子どもが花のまちづくりに参加することで期待できる教育的効果として、主に次の3点が挙げられます。

 (1)心が育つ(豊かな心の育成)

 いじめや非行等、子どもが引き起こす問題行動は「貧しい心」によるものではないでしょうか。子どもに思いやりの心が育っておらず、無責任、無関心など「貧しい心」が形成されてはいないか。この「貧しい心」は心の栄養不足といえます。花を育てる活動は花の持つ「心の癒やし」効果が期待でき、花のまちづくりへの参加で、子どもの心に栄養が与えられ心が育つと考えます。季節の変化を感じたり、土の感触を味わったり、多くの虫に出合ったり、豊かな自然体験ができ、感性も育まれます。また、多くの人たちとの交流があり、豊かな人間関係の中で、思いやりの心が育ち、他者との接し方を学ぶことが期待できます。

 (2)体力の向上(豊かな体力の育成)

 花壇をつくったり、美しい花を咲かせたりするためには、多くの作業をしなければなりません。土づくりをし、種をまき、苗を植える。その後は数回の除草作業や水やりをし、時には物を運ぶなど、体を動かし汗をかくことが多く、これらの活動は豊かな体力の育成につながります。

 (3)自然科学への関心(豊かな学力の育成)

 花を育てる活動を通して、子どもたちは種のまき方、苗の植え方、肥料のやり方等栽培の知識や技術を学びます。また、花を育てる過程で、どうしたら美しい花が咲くか考えたり、工夫したりします。これらの活動は豊かな学力の育成につながるでしょう。

 このように、子どもは花を育てる活動・花のまちづくりへの参加を通して、豊かな生活体験をし、豊かな発達をもたらし、生きる力を身につけていくことができると考えます。






(上毛新聞 2012年3月21日掲載)