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◎先進的な嬬恋スケート 「一貫指導システム」は、競技力向上を図るために不可欠の対策として、日本オリンピック委員会「国際競技力向上戦略」の重点項目に示されている。それに基づき、各競技団体は重要な強化対策として位置付け、選手育成の中心的な対策として定着している。 1975年に嬬恋高校が「全国高校スケート選手権大会」で「女子総合優勝」を達成した。朝日新聞「ひと」欄(同年2月18日)に当時の監督のインタビュー記事が載っている。 無名の学校がなぜ優勝できたかという結論を聞かれて「そうですねー、私もよくわかりません…中学から高校の一貫トレーニングが実ったんでしょうか」。自分でも不思議そうだ。特別なトレーニングは、と聞かれ「別に…ただ、中学校1年の時から見ていますからね、選手一人一人に合ったトレーニングを積み重ねてきただけですよ」 この指導者は4年前に新任で中学校に赴任し、指導者がいなかったスケート部の監督になった。「いつも一緒に走り、一緒に遊んだ。日曜日も給料も全部つぎ込んだほどです」とも答えている。そこに技術以前の深い人間的なつながりや信頼を感じる。高校に進んでもスケート部員は自然と中学校に来て、一緒の練習となった。「高校3年生までに力がつけば、という6年計画が出来たんですね」 嬬恋村は「日本一のキャベツ村」である。生徒の保護者でもある農家のおやじさんからは「先生、キャベツだって手間暇かけなけりゃあ売り物にゃあならねえんだよ」と、酒を飲むたびに言われた。冬、雪に埋もれた農家では農作業がなくなる。「生徒たちを長野や軽井沢のスケートリンクまで連れていくのに毎日5~6台の車が必要で、保護者が交代で協力してくれます。これがなかったらとても十分な練習はできません」とも答えている。「中高一貫トレーニング」という強化システムは、嬬恋地区で指導の必要性から自然発生的に生まれてきたシステムである。このシステムで全国優勝を達成し、数年後にはオリンピックでメダリストを輩出するという日本初の成果を挙げた。 浅見俊夫・前国立スポーツ医科学センター所長は「一貫指導とは理念が一貫しており、その時々に競技者に最適な指導をしていく仕組みのこと」と述べている。指導者の役割も「育成向上の時期」には一時的な結果よりも将来を見据えた指導が求められ、そして「勝負の時期」には勝つことができる指導が求められる。嬬恋村は40年を超える一貫指導の歴史を築き上げ先進的な役割を果たしており、群馬が全国に誇る実践であると思う。今後さらに充実発展していくためには、指導者自身も選手・保護者・支援者・地域から育てられているという謙虚な気持ちを失わないことであろう。 (上毛新聞 2012年3月27日掲載) |