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視点 オピニオン21
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NPO法人「生きる塾」理事長  渡辺 謙一郎(太田市新田早川町)



【略歴】太田市生まれ。樹徳高卒。小学生のころから障害のある人たちと一緒に過ごし、福祉への関心を高めた。日本メンタルヘルス協会認定カウンセラー、辺重社長。


震災1年の被災地



◎公園リメークお手伝い



 先日の3月11日で東日本大震災から1年がたちました。私は石巻市の日和山神社の慰霊祭に参加させていただきました。当時、一緒に物資を配った仲間たちと牡鹿半島、女川町、雄勝町がどれだけ復旧できたかを見て回りました。どこも一面何もない状態で、あるのはがれきの山だけでした。大川小学校にも行き、手を合わせてきました。なぜ目の前の山に逃げなかったのか…まさかここまで津波が来るとは想像もできなかったのでしょう。「まさか」を想定して私たちも備えをしなければいけないとつくづく思いました。

 私たちが初めて物資を降ろした場所、車が店内に突っ込んでいたコンビニに立ち寄りました。再開しているのを見て、みんな感動しました。慰霊祭で落ち込んでいる人たち、「明日に向かってがんばろう!」と灯籠を作っていたボランティアの若者たち。それぞれの思いを感じることができました。

 被災地の現状は、とにかく早く復旧復興を進めてほしいということだと思います。自分の家や家族を災害で奪われ、仮設ハウスに住んでいる人たちの気持ちになって考えていただきたい。国のルール、県のルール、市のルール。それぞれルールがありますが、命とどちらが大切なのでしょうか。自分に都合の悪いことはしない。自分はどれだけ恵まれた生活をしているのでしょうか。もう一度、考えてみてください。

 福島県の人たちとも友達になりました。驚いたのが除染の進しんちょく捗の遅さと放射性物質の付いた泥等の処分の仕方の不明確さです。地元の方たちからまだそのようなことが決まっていないと聞きました。何も決まらないのです。国、県、市のトップのリーダーシップの重要性を感じました。とにかく民間で何とかできないかいろいろと考えています。

 NPO法人「生きる塾」(電話0276・49・5081)の仲間と石巻へ公園リメークのお手伝いに行ってきました。ここで勉強させられたのが、落ちている物を活用していることです。例えば、土管の秘密基地。その時はキックスケーター(2輪になっていて片足を乗せ、もう片足で地面を蹴って進む)のゴムタイヤを外して滑車とし、ロープにプラスチック製の窓をつけて、上げ下げできる入り口にしました。こうして頭の中であれこれ考える中で、ユニークな物がつくられていくのだなと感心させられました。今では仲間から借りたテントで寒さをしのぎながら元気に子どもたちは遊んでいます。

 8月の太田のねぷた祭りに石巻の子どもたちを招き、楽しくお祭りに参加してもらおうと企画を進めています。ジャガラの演奏を体験するなど、元気を持ち帰ってもらえたらいいですね。ボランティアの方のご協力をお願いいたします。






(上毛新聞 2012年3月30日掲載)