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視点 オピニオン21 |
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◎感謝の心子どもたちへ 昨年の夏、前橋市で開かれた図書館祭りで絵本作家、長谷川義史さんの語りに思わず引き込まれてしまいました。講演の中で、長谷川さんは代表作「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」を、それはそれは魅力的に読んでくれました。 ストーリーは幼稚園児の「僕」がおじいちゃんに「おじいちゃんのおじいちゃんはどんな人?」と質問したことをきっかけに始まります。時間をさかのぼり、それぞれの時代のおじいちゃんであろう人たちを「僕」に紹介し、それを知った「僕」は、自分は誰のおじいちゃんになるのかな? で終わる絵本でした。一緒にいった長男は、長谷川さんの語りに笑い転げていました。 私は、母方の実家に飾られている祖父母と曽祖父母の絵を思い出しました。主人公の「僕」と同じ幼稚園のころ、その家に遊びに行っては、祖父母や曽祖父母の絵の前に行き、伯母にどんな人だったか教えてもらい、自分なりの想像をしながら絵に話しかけていました。 大人になって今思うことは、いつの時代でも懸命に生き抜いてくれた方たちがいたから、私は今、生かされているということです。そして、私に関わる誰か一人でもいなかったら、私は存在していなかったんじゃないだろうか? と思います。はるか昔からスタートした命のリレーのバトンをつなぎ続けてくれた祖父母をはじめ、名前も知らないご先祖さまにありがとうと、感謝の気持ちでいっぱいです。 思い返すと、長男を授かった時から私の視点が変わったように感じます。それは、ご先祖さまの代表で今、生かされていて、一人一人の個性を輝かせられたら素晴らしい! と思うようになりました。そして、自分のことで精いっぱいだった私が、自分にとって嫌な人でも、時間と場所を変えれば、その人のことをかけがえのない存在に思っている人がいて、誰一人として必要のない命はなく、一人一人がかけがえのない大切な存在と思うようになりました。 それぞれの立場から視点を変えてみると全く違った世界が広がり、多角面から見る努力を積み重ねることで、自分の可能性を押し広げられるんじゃないかしら? と思うようになりました。 やんちゃ盛りの息子2人に翻弄され、先ほど書いたことをすっかり忘れてしまう時もありますが、生かされている感謝や人を尊重する心を、私がご先祖さまになる日まで、子どもたちへ手を変え品を変えて伝え続けていこうと思います。 (上毛新聞 2012年4月3日掲載) |