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群馬パース大学長  小林 功 (前橋市三俣町)



【略歴】渋川高、群馬大医学部卒。同大学院修了。医学部附属病院長など歴任、2005年から現職。群馬大名誉教授。歌誌「地表」同人。10年度県文学賞(短歌部門)受賞。


超高齢社会



◎今が好機の介護福祉士



  今や少子高齢社会といわれる時代になった。65歳以上の人が総人口の21%超に達した社会は超高齢社会といわれ、わが国は2007年に超高齢社会になった。

 人は誰でも長生きしたい。しかし、加齢による心身上の変化は確実に進む。食事を一人では食べられない、尿失禁する、トイレに行けなくなった、手足の自由が利かない、物忘れがひどくなり、道に迷う、暴言を吐く等々。日常生活活動(ADL)が低下するのである。

 当初は家族の援助で何とかやってゆけるかもしれない。国は在宅介護を進めたいと推察されるが、高齢者にはやがて限界が来る。核家族による人手不足も一因となろう。

 一方、介護を要する高齢者は、脳血管障害や心臓疾患、大腿(だいたい)骨頸部(けいぶ)骨折などの整形外科疾患、悪性腫瘍、さらに認知症など、さまざまな病気を持っている場合が多い。肺炎後には臥床(がしょう)による四肢の筋力低下、いわゆる廃用症候群になり、寝たきり状態やうつ状態になることになる。従って専門的な医学的管理も必要となる。地域には開業医や病院があっても、介護の領域に踏み込み難いことも多い。

 そこで、高齢者の多くはデイケアに通う。やがて老人ホームに入所することにもなる。有料老人ホームもいろいろな形態がある。

 介護を要する高齢者を受け入れる施設の一つに特別養護老人ホーム(特養)がある。入所するには100人待ちとも聞く。しかし、4月4日付本紙は県が今後3年間で特養を1235床増やし、介護職員も2010年比で6千人以上増員する方針と伝えていた。

 一方、介護施設における介護職の充足率はどうであろうか。介護に当たる現場には社会福祉士や看護師もいるかもしれない。介護専門職としての介護福祉士もいるはずであるが、給与体系が悪いとの風評のためか、十分充足されていないのが現状であろう。今後ますます必要性が増すと予想される職種にもかかわらず、である。

 そこで提言を一つ。

 介護専門職としての「介護福祉士」の資格を取得すること。現在でも一定の経験を積み、国家試験にパスすれば介護福祉士になれる。もう一つの方法は、介護福祉士養成の専門学校で2年間の所定のカリキュラムをクリアすれば、介護福祉士の資格が取得できる。高校を卒業して(または同等以上)ハローワークに求職を申し込んだ人の中から、推薦を受け、合格すれば、入学料や授業料等の負担はない。来年度もこの制度が存続されることが予想される。私が関連している学校の約半数がこのような社会人入学生である。今がチャンス! 成長が期待される分野である。






(上毛新聞 2012年4月21日掲載)