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視点 オピニオン21 |
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◎柔軟な考えで挑戦する 先日、書類にサインをした。私の年齢が実年齢より多めに書いてあった。急ぎの書類らしいので、渋々サインをした。例えば、これが実年齢より10歳も若く書いてあったらニコニコしてサインしただろうに。全く女、いえ、私の心は勝手なものだ。最近、歳としについて考えることがある。自分は毎年歳を取っていくのだが、それなりに心や頭の中が歳相応になっていっているのだろうか、と。 「地域も老化する」と言った人がいた。私の住む利根沼田も高齢化がどんどん進んでいるようだが、この意味は高齢者が増えていくということとは違うようだ。地域によって特徴があるはず。利根沼田は老化していないだろうか。 今もみんなが最大目標の「地域の活性化」を目指して一生懸命頑張っている。なのに、なぜか食い違うこともある。同じ目標に向かっているはずなのだが。食い違うのは「時代のせい?」。ただ、首をかしげ、苦笑いするしかない、そんな情景をよく見かける。 時代の先端を行くのは若者である。新鮮な考えを持ち、何事も恐れず、ぶつかっていく若い力! その若い力をサポートしていくのが、豊かな経験に裏打ちされた考えを持つ年代だ。お互いに意見を聞き合い、切せっ磋さ琢たく磨まし合う。若者は古い意見につぶされることのないように。「出るくいは打たれる」という言葉もあるが、打たれ慣れれば強くなる。地域の重鎮をないがしろにはできないが、時代をつくるのは若者なのだ。自分も含め、もっと自信をもって前に進みたい。 ある芸術家の夕食会に招かれ、会話を十分楽しんだ。その芸術家は矢継ぎ早に次から次へと私に質問を投げかけてくる。まるで私のパワーを吸い取りたいかのように。その方は60歳を過ぎていて、重い病気からも立ち直った筋金入りの根性を持ち合わせている。何でも知りたがる。そして、私のことも今後どうしていったらいいかと、一緒に考えてくれるありがたい存在だ。フェイスブックも、その方に教えてもらった。アナログ派の私、などと言っていられなくなってしまった。 歳を取ることが老化ではない。地域の老化は「凝り固まってしまうこと」だ。地域が輝くには「柔軟な考えで、何にでも挑戦していくこと」なのではないだろうか。各年代が己をわきまえ、それぞれの役割を果たしていけば、きっとスムーズに前に進むことができる。私は、そう信じている。ついでに言えば、私は自分が60歳になるのが楽しみだ。そのころ何をしているかと考えただけで、ワクワクする。 (上毛新聞 2012年4月24日掲載) |