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NPO法人みんなの未来研究所代表  須永 徹 (太田市由良町)



【略歴】元ジャパンビバレッジ環境部長。定年退職後、2009年9月にNPO法人みんなの未来研究所設立。県環境アドバイザー、県地域づくり協議会委員。


ごみの排出量



◎生活様式見直し減量を



 群馬DCが昨年行われ、知名度が最も低いという県であったのが、少しは順位が向上したのだったらうれしいことです。さて、実はこれよりもっと情けないことがあります。それは県民1人1日当たりのごみの排出量が、都道府県別で全国2番目に多いということです。これは2009年度の結果ですが、全国平均では1人1日当たり994グラムのところ、群馬県では同1096グラムでした。

 一時、マイバッグ・キャンペーンなどがあったころは、これを持って買い物をすることが勧められました。ブランド物のマイバッグを買うために行列までできて、ニュースで報道されたこともありました。ところが今や、買い物時に必ずマイバッグを使用している人は10%程度と言われています。恐らく、どこの家庭にも使っていないマイバッグが3~4枚はあると思われますが、使われないまま、やがてごみになってしまうのだとしたら、何という皮肉でしょう。

 レジ袋廃止はスーパーマーケットなどの足並みがそろいません。みな「他のお店がやればやります」という姿勢のようで消極的です。結局、他店との競争に負けたくないという理由で、率先して取り組む気はなさそうです。せめて県産の間伐材を利用した紙袋くらいは実践してほしいものです。また、消費者の中にも「レジ袋がないとごみ出しが不便」などの意見もあるようですが、それは本末転倒というものではないでしょうか。

 ごみ問題は大きな環境問題の中ではほんの一部分かもしれませんが、地球温暖化防止のための最初の一歩であることに変わりはありません。あの東日本大震災で、大多数の人が生活様式(ライフスタイル)をいやが応でも変えざるを得なくなりました。幸い、私たち群馬県に住む者は大きな被害を受けずに済み、今までとあまり変わらない生活を続けることができています。

 環境問題は借りている地球を、せめて現状より良くして後世に残し、伝えていくという考えがなければなりません。皆さんの子どもや孫たちが、処理しきれないごみの中で生活せざるを得なくなることを想像できますか?

 私たちは緩やかでもライフスタイルを見直し、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を実践して、ごみの少ない県として良い方の日本一になりたいものだと思います。

 さあ、もう一度眠っているマイバッグや風呂敷を使ったり、ごみの分別や家庭内でのリユースをして、この不名誉な記録を一気に誇れる数字にしませんか。







(上毛新聞 2012年4月26日掲載)