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視点 オピニオン21
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繊維製品企画会社グラムス社長  松平 博政 (桐生市境野町)



【略歴】流通経済大卒。繊維メーカー勤務を経て2005年に独立。桐生市イクメンプロジェクト推進チームリーダー。NPO・ファザーリング・ジャパン会員。


皆で子ども支える



◎会社や地域の活力にも



 私たちは普通のパパである。仕事も家庭生活も楽しくしようと日々奮闘するひとりのパパである。私自身、自分のことを「イクメン」だなどと思ったことも言ったこともない。ただ、どうせパパをやるなら、楽しくやるほうがいいに決まっているし、それによって自分自身が成長できれば家庭にも職場にも良い影響を与えることができる。

 桐生市イクメンプロジェクト推進チーム(KIP)の調査では、「イクメン」という言葉に何らかの違和感を感じている方は約1割。おおむね好印象のようだが、「イクメンよりおやじのほうが親しみやすい」とか「当たり前のように育児をやっているので、あえてイクメンと言われたくない」という意見がある。2010年に流行語トップテンに選ばれた「イクメン」という言葉は、今後忘れ去られていくだろう。そのときこそ、パパの育児参加が当たり前の社会がやってくる。

 パパが積極的に育児参加するには、各家庭において働き方の見直しが必要になってくる。当然、家庭内のコミュニケーションスキルが求められる。パートナーの理解を求めつつ、最適な解を見つけ出すひと仕事である。この作業、ついつい家庭内で解決させようとするが、実はあなたの周りにもたくさんの良いサンプルがある。たとえば、知り合いの40代の会社社長。家庭内で家族と一緒に食事したときは、必ずご本人が皿洗いをするというルールを決めている。KIPメンバーでは、3カ月の育休をとったメンバーもいる。試しに周りのパパに聞いてみたらどうだろうか。気難しい顔をした取引先の担当者も、家に帰れば自分と同じパパなのだ。

 職場においては、トップをはじめ周りのサポートが必須である。誰かが育休を取得すれば、周りのスタッフに負荷がかかることになるから、育休取得することで自社にどんなメリットがあるかをトップが率先して伝える必要がある。それは、社員の意見を参考にしながら、各会社ごとに最適解を見つけ出すひと仕事である。ひとりひとりの社員が子育てを経験することで成長し、会社に好影響を与えてくれれば会社のためにもなる。子育てのために会社があるわけではないけれど、会社での安定がなければ子育ても結婚もままならない。地域も含めた皆で子どもを支えることが、個人・会社・地域・国の活力へとつながるのだ。

 KIPは、群馬県・桐生市・桐生商工会議所と共催で、緊急子育て座談会(予約制)を企画した。タイトルは「さらば、イクメン!?」。19日にタレントのつるの剛士氏や桐生市長らをお招きして、実際に育児に関わってきたお話をうかがい、仕事と家庭の両立のコツや、地域での取り組みなどを参加者同士で考える機会にする。






(上毛新聞 2012年5月17日掲載)