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神流町観光インストラクター  細谷 啓三 (伊勢崎市韮塚町)



【略歴】沼田市出身。神奈川県神奈川工業高、京都市立芸術大学校美術学部卒。大洋グループなどでテレビ制作関連の業務に携わり、2009年8月から現職。


鯉のぼり祭り



◎中学生が自発的に協力



 「鯉(こい)のぼり祭り」は1981(昭和56)年5月、町内の民間団体「かたる会」が1本のワイヤーロープに100匹のこいのぼりを揚げたのが始まりです。その数は年を重ねるごとに増え、87(同62)年5月には、8ライン800匹になりました。同年10月に群馬県ふるさとづくり大賞を受賞し、また、翌年3月には第2回全国ふるさとづくり大賞の最優秀賞に輝くイベントに育ちました。

 89(平成元)年5月には、鯉のぼり祭り実行委員会主催の「鯉のぼりフェスティバルin万場」となり、万場町と中里村の合併に伴い、2003(同15)年からは「神流町鯉のぼり祭り」として町の恒例行事となっています。

 このような経緯で昨年、30周年を迎えましたが、東日本大震災が発生したため、1年遅れて今年、30周年記念イベントとして開催することになりました。

 しかし、5月2日からの豪雨により神流川が増水し、イベントを中止するか開催するか、当日3日の早朝、会議が行われました。結果、イベント会場を急きょ、小学校の校庭および体育館に変更して開催することが決まりました。

 30回を数えるとマンネリ化しつつある進行ですが、今まで経験したことのないような神流川増水という事態で、限られた時間の中で会場を移動するという作業が新たな団結力を生み、40周年に向けての基盤が整ったように思えました。災い転じて福となすのたとえもあります。そして、3時間後にはオープニングを迎え、井上あずみファミリーコンサートも無事スタートすることができました。

 この中でもう一つうれしい出来事がありました。前にもこの欄で紹介した子どもたちの会「かんなっ子倶楽部」のメンバーが、コンサートを手伝わせてほしいと、自発的に申し出てくれたことです。昨年10月の発足以来、小学校の写生大会を開催して以降はこれといった活動がなく、今後のことを考えている矢先の事でした。

 神流町の15歳以下の子どもたちは5月1日現在98人で、今回手伝ってくれた子どもは中学生11人です。なんと1割以上の子どもが自発的に参加してくれたわけです。そして、子どもたちはこのコンサートで、お客さまを前に自信を持って堂々と、てきぱきと行動してくれたことも今後に期待できる内容となりました。学校の授業以外で学び体験したことを今後に生かしてもらえればと思います。

 これからも地域イベントがあるたびに「かんなっ子倶楽部」に何らかの形で活動の機会を提供していけたらと、考えを新たにした「神流町鯉のぼり祭り」で、非常に意義深いイベントでありました。






(上毛新聞 2012年5月18日掲載)